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本の紹介/「募集」という名の強制連行 坪内廣清


 植民地時代、多くの朝鮮人が日本へ強制連行され、炭坑、鉱山、地下工場、軍需工場などで働かされた。本書で紹介する在日同胞1世の「学奉さん(岐阜県各務原市在住)もその体験者だ。

 「さんが日本に渡航したのは「募集」としてだが、何の自由もなく拘束され、宮崎、広島、兵庫、三重、福井、岐阜の軍事施設などで6年間、労働を強いられた。祖国解放後は日本に残ったが、今度は朝鮮人として差別を受けた。本書ではこうした「さんの体験をまとめている。

 第1部では、植民地時代の故郷の暮らしや、強制連行されたあと日本での60年間の体験を証言をもとに整理。2部では、証言だけでは分かりにくい内容について、12の項目別に解説した。

 「「さんの体験は個人のものだが、強制連行された朝鮮人労務者の共通の体験」だと指摘する著者。「さんの証言を通して、強制連行の実態の一端を訴えている。 定価=1800円、彩流社