共和国経済を読み解く/慈江道から全国へ(3)
自力更生で電力問題解決/各種の中小発電所を建設
資金・材料節約を徹底
「これから慈江道では『苦難の行軍』ではなく楽園の行軍をするようになりました」。金正日総書記は1月16日から21日まで慈江道を現地指導し、多くの中小型発電所(小型=1000キロワット以下、中型=1000〜1万キロワット)を短期間に各地に建設して電力問題を解決した労働者を高く評価した。また、同24日付の共和国中央人民委員会政令によると、延亨黙・朝鮮労働党慈江道委員会責任書記兼慈江道人民委員会委員長に共和国労働英雄称号と金メダル、国旗勲章第1級が授与された。道内の労働力と資材で短期間に多くの中小型発電所を建設し、電力問題の解決に貢献したことが主な受賞理由だ。
慈江道は地域の特性を十二分に発揮した。延責任書記は「鴨緑江や清川江など水量の多い大きな川など、延べ800の河川があり、また地理的に見ると海抜が120〜2000メートルの間に位置し、電力問題解決の有利な条件となる」と語る。この利点を生かし、大小河川に様々な形態の中小型発電所を建設し、生産された電気で暖房が完備された住宅を新築した。
工夫も凝らした。材料も資金も労力も極力少なく使う方法が徹底された。形態は水路式やメタンガス発電など様々だ。北川江発電所は北川江支流に丸太と赤土で堤防を築き、一定の落差を付けて作られたため、セメントや鋼材を使わずに済んだ。代用燃料を使えば水がない場所にも発電所を建設できる。
発電所は昨年3月から8月の間に29ヵ所に建設され、同年9月現在、170余の地方産業工場と2万1300の住宅照明、1700余世帯の暖房用電力が解決された。今年中に58、将来的には計463ヵ所に中小型発電所を建設する計画という。
実践的模範を一般化
共和国では今年を「社会主義強行軍の年」と位置づけ、経済問題の決定的解決に全力を注いでいる。中でも力を入れているのが電力問題の解決。生産を正常な軌道に乗せるにはエネルギー不足の解消、とくに電力問題の解決は不可欠だ。
当面して、地方が独自で多くの電力を生産するには、中小型発電所を大量に建設するのが手っ取り早い。時間的にもコスト面でも大規模な工事が必要な大型発電所とは違い、中小型発電所は材料や資金、労力などを多く使わず、短期間に建設できる。また、電力を生産する際にも少ない費用で済む。
その点でモデルケースとなったのが慈江道であり、慈江道の人々が発揮したのが江界精神だ。江界精神は、自らの指導者を信じ、指導者の構想と意図を理解して、その実現のためにあらゆる困難を克服して無条件でたたかう精神であり、自らの生活を自らの手で築き上げる自力更生の精神である。
「総書記が慈江道を訪れて最も大きな力を得、最も満足を示したのは、まさしく同地の労働者階級が発揮する自力更生の無尽蔵の創造力であった」(労働新聞2月18日付)。総書記が評価したのは、苦しくとも国に頼らず、道が自力で経済問題解決の前途を切り開いたことだ。江界精神がこんにちの強行軍精神と言われる所以はここにある。
総書記は、すべての道、市、郡で慈江道の模範を積極的に学ばなければならないと指摘した。延責任書記は「今回の現地指導には、まず一ヵ所で模範を示し、それを全国に一般化する方法で、社会主義経済建設の進路を切り開こうとする総書記の意図が込められている」と語る。
自力更生は、抗日武装闘争の時代、設備や資材が満足に揃わない悪条件を自力で解決し、解放後も受け継がれた伝統だ。革命と建設の過程で突き当たるいかなる難関にも屈せず、すべてを自力で解決する創造的精神が自力更生なのだ。
自力更生の精神は各分野で高く発揮されている。1月29、30の両日に平壌で行われた全国自力更生模範活動家大会では、穀物生産、水産物生産、鉱物生産、機械生産、科学研究、逓信事業、鉄道運輸などでの成果と経験について討論された。
慈江道から生まれた江界精神は全国へと広がり、社会主義強行軍に臨む人々の精神的柱となっている。(根)