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朝鮮学校差別の是正を/日弁連調査報告書(要旨)D


是正措置/日本学校と同等の助成を

 外国人の学校について、国際的にはそれぞれの在住国が教育内容などの最低基準を定めてその水準を維持することを要求することを認めており、外国人の権利宣言はかかる前提に立っている。日本国は、その各初・中・高等の教育課程の最低基準を法定していないから、速やかにこれを法定すべきである。

 そして、その各要件を満たした学校の卒業生については、それぞれ日本国の学校教育を受けた者と同等に、初・中・高等の学校教育を卒業した資格を認めるべきであり、また在籍している者にはそれぞれその学年まで修業した者として転入を認めるべきである。

 外国人の教育は、その民族ないし本国の文化に基づいてその民族構成員ないしその国民によって実施されるのであるから、その基準は民族ないし本国を尊重し在住国の社会生活と文化程度に必要な最低限度にしなければならず、制定には慎重な配慮を要する。一応以下の基準が考えられる。

 A 本国法に準拠して、本国とほぼ同一の教科と水準によるもの(これに日本で生活するために必要な日本語教育など自主判断による若干の変更を加えることは自由であるが、要件とはしない)。

 B 日本国の学校教育法とほぼ同等の教科と水準に自国語を国語とし、また自国語を以て他の科目を教え、自国の歴史などを加えたもの(同)。

 C 上記A、Bのいずれかの最低水準を満たしているもの。

 在日外国人は、外交官および日米安全保障条約の関係者を除いて納税の義務において日本国民と同等であるから、公平にその利益を受けるべきである。外国人児童の教育について、原則として少くとも日本国民と同等の経費を日本国として国庫および地方財政から支出すべきである。

 経常経費に関する助成金は、在日外国人の児童生徒が、児童の権利条約などで保障しているとおりに、自らの文化を保持して義務教育課程を無償で受けられるために、1人あたり少なくとも日本の国公立小・中学校の児童生徒一人の教育に要する経費と同額の助成金を交付すべきである。

 高等学校教育については、少なくとも外国人学校とその生徒に1人当たりの助成金として、「日本国の国公立高等学校の生徒に必要とする経常経費の総額+日本国の私立高等学校の学校および生徒が受けている助成金の総額÷日本国の国公立および私立高等学校の生徒総数」の計算による金額を助成金として交付すべきである。

 大学およびその研究については、日本の私立学校振興助成法に基づく私立大学と同等の助成金を交付すべきである。

 施設費については、児童生徒学生の数に応じて、日本の国公立小・中・高等学校と同程度の環境・施設において教育するに必要な額を助成する。ただし教育施設の固定資産(土地建物)については賃借費用相当を限度とすることができる。 児童生徒に対する学資の貸与の援助は、私立学校振興助成法の運用と同額とする。

 教員の養成に関する経費は、日本国の教員養成・資質向上活動に相当する活動の経費を助成すべきだ。
(おわり)