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視点


 6日、奈良・明日香村のキトラ古墳の調査が超小型カメラで行われ、天体の運行線が描かれた「星宿」(星座)や4神の1つ「白虎」などが発見された。7日付各紙朝刊はカラー写真付で1面トップから「日本で極彩色の古墳壁画が確認されたのは1972年の高松塚古墳以来」とし「信じられない、今夜は眠れない」などの関係者の声も報じた。

 そして「古墳の被葬者は一体、誰なのか」「これほど高度な技術を持った絵師は一体、誰なのか」などの論議を呼んでいる。千田稔・国際日本文化研究センター教授は「高官などではなく最高位の人物の墓にしか描かれない絵だ」「キトラ、高松塚古墳の被葬者は渡来系の王族。百済王善光、昌成の父子と見るのが最も合理的」と言う。

 日本には、7世紀に渡来した百済の僧・観勒が天文・暦学を伝えた。また渡来人の黄文氏は高松塚古墳の壁画を描いた最有力候補とされている。昨年10月、訪朝した画家の平山郁夫氏は7基の高句麗壁画古墳を参観し、「高松塚古墳の壁画は、高句麗の影響が非常に濃厚で、高句麗の壁画を手本に描いたものと思われます」と語る。

 星宿を天井に描くのは高句麗古墳の特徴で、朝鮮最古の天文図、高句麗の「天象列次分野之図」には282個の星座と1464個の星が描かれている。

 1300年の眠りから覚めた壁画は、高句麗壁画との違いもあるようだが、日本と朝鮮半島との交流の深さを解明する貴重な発見である。(喜)