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朝鮮人強制連行真相調査団第6回全国交流千葉集会


 朝鮮人強制連行真相調査団第6回全国交流千葉集会が2月28日と1日の両日、朝鮮人強制連行真相調査団と2・28全国交流千葉集会千葉県実行委員会の主催により千葉市の千葉県教育会館で行われ、全国の強制連行調査団員をはじめ各地の在日朝鮮人と日本の市民ら500余人が参加した。集会では、もっとも強制連行が多かったとされる1944年度の都道府県別の連行予定数を示した閣議決定の添付資料を国立公文書館で発見されたことが明らかになった。また、京都朝鮮人強制連行真相調査団の水野直樹・京都大学助教授が、朝鮮半島から日本に強制連行されたことを示す旧内務省の公文書を発見したことを発表した。

 

日本の戦争責任を追及/公文書公開などの立法措置を

 集会では、実行委を代表して本間義人委員長があいさつし、教科書から「従軍慰安婦」問題の記述削除を求める動きなどがあるが、事実をなかったことのように扱う行為からは何も生まれないと述べ、強制連行の真相究明のために全力を傾けることを訴えた。

 総聯中央の呉亨鎮副議長があいさつし、千葉で行われる全国交流集会は大きな意義があると強調しながら、「昨年、千葉県に在住する強制連行被害者と愛知の被害者遺族が日本弁護士連合会に人権救済の申し立てをした。長年にわたる調査団の粘り強い活動によって、現在、個別の不当行為、犯罪行為の追求から植民地犯罪、戦争犯罪への追及、人権と被害者の尊厳回復へと新たな段階に進んでいる」と指摘した。

 続いて、日本教職員組合中央委員会の山根基嗣中央執行委員があいさつし、日本が戦争責任を償わないことによって、教育現場でも歯車が狂い出していると指摘、学校の教育現場で人権を語る前に日本の戦争責任をきちんと語ることが先決だと述べた。

 また、共和国の「日帝の朝鮮占領被害調査委員会」をはじめ、社会民主党の土井たか子党首らからメッセージが寄せられた。

 シンポジウムでは、京都大学の水野直樹助教授、一橋大学の吉田裕教授、山口県強制連行真相調査団の金静媛さんがパネラーとして発言し、コーディネーターとして東京都立大学の鈴木二郎名誉教授が参加した。

 また、各テーマごとに6つの分科会が行われた。

 集会では、政府関係機関等公的機関の保有する公文書や資料を積極的に公開させる必要があるとして、真相究明を可能にする立法措置を求めるアピールが採択された。

 

’44年度の連行数、全容解明に迫る資料/閣議決定添付資料

 今回、真相調査団が発見した資料は、戦前の1944年12月28日に作られたもので、労働状況によって警察官の増員などに関する「内務部内臨時職員等設置制外五勅令中改正ノ件」と題した閣議決定添付資料だ。

 資料では、連行先を「石炭山」、「金属山」、「土木建築」、「工場その他」など4つの種類に分類して計上し、全国で計29万人を連行する計画を明らかにしている。

 また、日本全国で唯一強制連行がなかったとされる千葉県に関して3265人の数が明記されている。

 資料は一部不鮮明な部分もあるが、都道府県別の強制連行予定数は、福岡6万1325人、長崎1万7800人、福島1万4272人などと記述している。

 これまで、年度別の強制連行の数が記録されたものには、米国の戦略爆撃調査団報告書が発見されていたが、それらは戦後に作成されたもので信憑性について指摘されてきた。

 同調査団の洪祥進事務局長は「本土決戦に備えて連行形態が変わっている状況などが読み取れる。強制連行の全容解明に迫る信憑性の高い資料だ」と指摘した。

 

「夜襲や略奪拉致」/証言裏付ける旧内務省資料

 京都朝鮮人強制連行真相調査団の水野直樹・京都大学助教授によって発見され同資料は、内務省嘱託職員が朝鮮各地に出張に行き、調査した結果を1944年7月31日付で管理局長当てに報告した「復命書」だ。

 資料には当時、朝鮮人の連行が拉致同然に行われていたこと、その後、家族にどのような影響を及ぼしたか、また、連行先で囚人同様に扱われていたなどの処遇について生々しい状況が記録されており、こうした実態が公式の文書で明らかになるのは初めてだ。

 資料では、「動員の実情」について、事前に知らせると逃亡の恐れがあってそれを防ぐため夜襲、誘出、その他各種の方策を講じて人質的掠奪、拉致の事例が多くなる、と記述している。

 また、「内地移住労務者送出家庭の実情」について、長期に至る時は破滅を招来する者が極めて多く、突然死因不明の死亡電報などが来て家族に対して言う言葉を知らないほど気の毒な状態だ、と記している。

 真相調査団は、被害者から得た強制連行の証言の裏付けとなるとしている。

 水野助教授は、真相究明のために、日本政府は文書の公開を行うべきだと主張している。