sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

現地ルポ//軽工業委員会・被服研究所を訪ねて


 【平壌発=本社記者李賢奎】平壌市にある共和国軽工業委員会被服研究所では、コンピュータを駆使したハイテクシステムを導入し、民族性を生かしつつ現代感覚にマッチしたチマ・チョゴリや洋服などを多数デザインし、製作している。また全国の被服工場に対し技術指導も行っており、いわば共和国のファッション界をリードしている。同研究所を訪ねた。

 

民族性とモダンさを融合/海外進出も狙う

7つの研究室と工場

 平壌中心部から大同橋を渡って船橋区域に向かう。金亨稷師範大学の正面にあるのが軽工業委員会被服研究所だ。建築面積2000平方メートル。

 研究所内には男性服、チマ・チョゴリおよび女性服、工程、服のデザイン、材料、被服の自動パターン化、新技術普及など7つの研究室と工場、講義室などがある。従業員は130人、うち68人は研究生だ。

 ソン・ウンスク所長(58)の案内で各研究室を見て回った。

 共和国では5年に一度、全国民の体格を調査、分析したうえで、それに見合った服の規格化を行っている。その事業を担当、推進しているのが男性服、女性服の両研究室である。新商品をパターン化するうえでの原理や方法なども同時に研究している。

 デザイン研究室では新製品や流行の服の研究、開発を進めていた。

 材料研究室では服に合わせてボタンや手袋などの小物類も製作しているという。

 

帰国同胞子女が開発

 被服自動パターン化研究室を覗くと、たくさんのコンピュータが目についた。ここではコンピュータを使ってパターンを起こしている。とくに帰国同胞子女のナム・スンイル研究士(34)が開発した自動測定装置は、身体の寸法をコンピュータで測定してパターンを起こすものだ。データを入力すれば新しいパターンをすぐに起こすことができる。

 作られた服などを商品化し、国内外に普及するのが新技術研究室の役割だ。ここでは新製品のカタログを作成して国内の商店に配布しているほか、海外進出も狙った宣伝活動を展開している。すべてオーダーメードだ。商店にカタログを置き、顧客の好みに合った色、柄、デザインなどを選択してもらっている。

 

在日同胞の注文も歓迎

 同研究所が設立されたのは61年9月27日。

 当初は学生服をはじめとするユニホーム、既製服のデザインを担当してきたが、70年代に入ってからは専門家を増やし研究部門を拡大してきた。

 そして90年代からコンピュータを導入して、体形の分析と服のデザイン・パターン化のコンピュータ化を実現させた。さらに国連開発計画(UNDP)の協力のもと、設備を一新し、現在も新しい機械を引き続き取り入れながら新製品開発に力を注いでいる。

 また海外のニューファッションの情報を収集するために現在、3人をシンガポールに派遣、ドイツやフランス、日本、中国に出向くこともあるという。

 ソン所長は、「いまは国内の俳優たちからの注文が多い。在日同胞も祖国を訪問した際にカタログを見て気に入り注文してくれれば、鮮やかなチマ・チョゴリを作ってあげられます」と話していた。