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各地商工会で「税金申告」事業


 不況の深刻化など、同胞商工人を取り巻く環境は依然厳しい。それだけに、同胞商工人の権益擁護を担う商工会の役割もいっそう重要さを増している。各総聯組織と同胞が「100日間運動」を活発に展開している中、「税金申告」事業に、精力的に取り組む各地の商工会の活動などを見る。

 

正確で迅速な対応/不況下で税務サポート

 神奈川・川崎地域商工会は2月13日〜3月16日を受付期間とし、黄景竜経理室長をはじめ5人のスタッフが対応している。

 今年の申告は、昨年4月からの消費税率アップなど、税法改正により、例年に比べ複雑だ。改正では税率が3%から5%に引上げられたため、書類をまとめる際、新旧税率を区分しなければならないからだ。

 県商工会ではこれに対処し、1月に職員の講習会を開催。各地域でも会員を対象に講演会を開き、法改正の内容や申告時の留意点などを詳しく説明してきた。

 川崎区と幸区の一部を管轄する川崎の経理室では、約300件の会員の名簿を整備し、当日の作業を手際良く済ませるために、業者ごとに受付けの日時(午前10時、午後1時、3時)を指定し通知した。またあらかじめ書類を新旧に区分して持参してもらえるよう事前連絡も欠かさず、万全の態勢を整えている。

 黄室長は「商工会にとって税金申告は、『100日間運動』期間の最初の事業だけに、誠心誠意で業務に取り組み、商工会の評判が同胞から同胞へと広がるようにしたい」と話す。

 さらに、「不況の影響で廃業・休業に追い込まれる業者が多く、会員も減りつつある。今後は経営上の問題など、より多方面でバックアップし、同胞の企業権を擁護する商工会としての役割を果たしていきたい」と抱負を語っていた。

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 今年、結成45周年を迎える福岡県商工会でも、地域ごとの税金講演会に力を入れるなど、税法改正の対応策を講じて来た。

 また、同県の八幡商工会経理室では、より正確な業務を期して、作業の開始を2月12日に早めた。

 21日には総聯福岡・若松支部事務所の一室に窓口を設置。スタッフらは同胞らの疑問点に答えながら、申告に関する書類の作成などを行っていた。

 若松商工会の厳在用理事長は、「若松地域では、土木業や焼肉店経営の同胞が多いが、不況の影響をもろに受けている。そんな中、税務では商工会が誠心誠意で助けてくれるので、同胞からの信頼も年々厚くなっている」と話していた。

 

人材や機能の充実図る/頼れる権利擁護団体に

 「税務は商工会で」とのイメージは、すでに幅広い同胞の間で定着しているが、当の商工会ではそういった画一的なイメージからの脱皮が課題になっている。

 東京都商工会の陳正植副理事長は、「時代とともに同胞企業の経営形態が高度化した。同胞商工人の権益擁護団体を自任する商工会としても、より多様なニーズに応えていくことが求められている。そうしてこそ会員の幅を広げていくこともできる」のだと語る。

 今後は会員らに対し、引き続き税務に力を入れながらも経理、経営、融資、登記、相続などの問題を扱うこと、「商工会は同胞社会の頼れる権利擁護団体」であることを積極的にアピールしていきたいという。また「100日間運動」期間には、「とくに地域での法人会員への対応能力の強化に向け、機能、スタッフを充実させたブロック経理室を設置するなど、具体的な措置を取っていく考え」という。

 一方、商工連では昨年、商工部のスタッフ、李宗和さんが商工会活動家としては初めて、中小企業診断士の国家資格を取得した。

 試験に合格後、同胞商工人からも喜びの声が聞かれたと言うが、李さんは「資格はあくまでも手段。実際に同胞企業に利益をもたらすことができて初めて意味が出てくると思う。同胞らの期待に沿えるよう、奮闘していきたい」と意気込んでいる。