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98共和国――経済動向/各担当者に聞く(6)軽工業

リ・ビョンリム軽工業委員会副委員長


工場でエネルギー自給/好調な加工貿易

 

生活レベル向上を

 共同社説は、軽工業第1主義方針の貫徹に引き続き大きな力を注ぎ、より多く人民消費財を生産すべきだと指摘した。これは、金日成主席の遺訓であり、金正日総書記の意図でもある。

 わが国は昨年まで「苦難の行軍」をしながら厳しい試練を乗り越え、今年は新たな強行軍の道に入った。この強行軍は経済を立て直すためのもの。経済を立て直す目的は、人民の生活レベルの向上にある。生活向上に直接寄与する軽工業部門の責任は重い。

 資本主義勢力に包囲され、経済的にあらゆる圧力が加えられている。さらに自然災害まで重なって大変厳しかったこの数年間、われわれは軽工業部門を自らの力で運営するためのたたかいを繰り広げてきた。

 昨年の旱ばつで水資源が不足し、水力発電による電力供給が大幅に減っている中、昨年下半期から少なからぬ工場・企業所に独自に発電機を入れた。

 一般的に軽工業部門の工場・企業所では女性労働者の占める割合が非常に高い。こうした条件のもと、工場のエネルギー問題解決でも女性たちが奮起している。例えば、ほとんどの従業員が女性である咸鏡南道の高原靴下工場では昨年、従業員自らトンネルを掘って川の水を引き、水車を回して電気を起こし、靴下生産を大幅に増やした。

 こうして昨年、とくに被服部門では電力消費量を大幅に減らした。

 軽工業の場合、このように動力を自力で解決しても、資材は他の部門から供給を受けざるを得ない。

 しかし、順川ビナロン連合企業所(平安南道)の生産も軌道に乗り始めており、軽工業の原料を生産する各種工場も内部予備の動員などで、好転の兆しを見せている。生ゴムや合成ゴム、テトロンなど、わが国にない原料は、軽工業委員会が独自に購入している。

 

東南アジアを中心に

 軽工業委員会では貿易に力を入れており、資本主義勢力の経済的圧力にもかかわらず、一定の実績を上げている。

 朝鮮銀河貿易総会社など、傘下に6つの大きな貿易会社を持ち、羅津―先鋒自由経済貿易地帯や海外にも支社がある。

 シンガポール、マレーシア、ドイツ、ロシアなどに代表部を置いているが、とくに東南アジア諸国など近隣諸国を中心に市場を開拓しており、在日同胞との取引も行っている。

 とくに被服、製靴、メリヤスなどの加工貿易が好調で、昨年、96年の1.5倍に成長した。今後、機械の組み立てなど分野も広げてより多様な方法を模索し、貿易を一層活性化させたい。

 一方、共同社説でも強調されている質の向上は、とくに軽工業部門で一貫して提起されてきた問題だ。にもかかわらず過去、この問題にあまり気を使っていなかったのも事実である。今後は、需要を満たしながらも質の向上を図るため本格的に取り組まなければならない。

 そのため、良質な製品に対しては高く評価してメダルや賞金を与え、劣悪な製品を生産した場合には罰則も設けている。また、年に4回新製品の合評会を開く。ほかにも定期的に商品展示会を開いたり、質のいい製品を生産した経験を一般化するための講習会を開くなど、努力を重ねている。進んだ国の経験からも学んでいる。

 解放後、主席の指導のもとで始まった共和国の軽工業の歴史は長くはないが、人民の需要を満たし、残りを輸出に回せるほどの力を持っている。メリヤス、絹織物、靴など、質的にも悪くない。何よりも労働者の知的水準が高く手先が器用だ。

 解放後から築いてきた土台と昨年までの経験で、飛躍できる道は開けた。その信念を胸に、靴や靴下、下着、洋服などの生活必需品から1つずつ解決する目標で努力したい。