延豊ダチョウ牧場を訪ねて
ダチョウは、体重150キロ、頭高2.4メートル以上と、現生の鳥類では最大の鳥だ。主にアフリカの草原などで生息し、強い両脚が生み出すスピードは時速70キロ。良質の皮や羽毛、卵は装飾品や工芸品などに、肉は食用として広く使われる。共和国に3つあるダチョウ牧場の1つ、延豊ダチョウ牧場を訪ねた。(高)
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今年5月にオープンしたばかりの延豊ダチョウ牧場は、平壌市郊外の1万5000坪の敷地に作られた。30人の作業員が昼夜を問わず、飼育に精を出している。
「ダチョウの飼育は、共和国でも始まったばかりの新しい畜産分野。だから、まだ実験段階なんです」。キム・ギュテ課長はこう語りながら案内してくれた。
飼育されているのは100頭余り。身重のダチョウ、産卵したダチョウ、雄と雌のつがいなどに分けられ、年齢別に柵で区分けされている。ケンカしないように取られた措置だという。
専用の運動場や寝床のほか、2.5メートル間隔で立てられた柵と柵の間に水路が敷かれるなど、設備は徹底している。飼育に細心の注意を払おうという作業員たちの熱意を感じた。
延豊ダチョウ牧場では、黒と青の2種類のダチョウを半々ずつ育てている。
黒ダチョウは生産性が高く、また青ダチョウは体が大きく生命力も強靭で、寒い地方でも飼育できる。調べによると、マイナス30度という悪条件でも青ダチョウは育ったという。
ダチョウの有用性は高い。肉は主に米国やヨーロッパで食べられ、安価で美味と珍重されている。日本では沖縄の企業が唯一、自社の牧場で飼育して観光客向けに肉を直売しているほか、関西地方のデパート、レストランや居酒屋など飲食店にも卸している。関西では一般に手に入る食材で、単価もモモ肉でグラム当たり250円と、牛肉や豚肉より安い。
そのほか、皮はハンドバッグや財布などの革製品、羽毛はマフラーや扇子などの装飾品、卵の殻は工芸品に使われる。
「ダチョウが幅広く利用されれば、人民生活は一層向上します」とはキム課長の弁。数年以内に10倍の1000頭に増やしたいと意欲を見せる。