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近畿各地の朝鮮学校で多彩なイベント


 近畿地方各地の朝鮮学校では11月15〜22日、日本市民も招き、公開授業とバザーなど各種イベントを開いた。こうしたイベントを通じて、朝鮮学校と民族教育を日本社会に向けて積極的にアピールしようという試みは近年、各地の朝鮮学校で行われているが、今年は共和国の人工衛星打ち上げ後、生徒への暴行・暴言事件などが相次いでおり、各校は一層の理解と支持を得ようと力を入れている。

 

大阪朝高祝典「はばたけ民族教育―21世紀に向かって」

 大阪朝鮮高級学校で11月21、22日に開かれた第10回大阪朝高祝典「はばたけ民族教育―21世紀に向かって」には、府下の朝鮮学校生徒や同胞父母、市民ら延べ2000余人が訪れた。祝典は、企画からポスターの作成、模擬店の準備まで、すべて同校生徒たちが行った。

 2日間にかけて行われた祝典では、同校生徒らによる芸術公演と大阪日校在学朝鮮人学生会による演劇・「バンテージ」が上演されたほか、「創造の宝箱」と題した生徒らによる仮装大会も行われた。また、運動場には同校生徒らによる朝鮮料理などの各種模擬店が設けられ、終始賑わっていた。2日間の収益金は、共和国の複合微生物肥料生産事業に寄付する予定。

 同祝典は、地域の日本市民に朝鮮学校を開放し、生徒らの姿を通じて民族教育をアピールするとともに、朝・日の友好親善を深めることを目的に、1989年から毎年行われてきた。これまでは、同胞と地域の日本市民を対象に催してきたが、今回は、府下の朝鮮中級学校生徒らも招いた。

 姜賢教員は「高級部生らの生き生きとした姿を通じて、中級部生らも民族教育の素晴らしさを改めて認識すると思う」と話す。

 また、井ノ口宏三さんは「生徒らが目を輝かせていた姿が印象的だった。日本の学校と違い、教員と生徒らの信頼関係も厚いように見えた」と語っていた。

 

尼崎東初級「笑顔いっぱいふれあいバザー」

 尼崎東朝鮮初級学校で11月15日に行われた「笑顔いっぱいふれあいバザー」(主催=同校オモニ会)には、同胞や日本市民ら2000余人が訪れた。

 午前中に、日本市民を対象にした公開授業が行われた後、運動場に設置された仮設舞台で、同校生徒らによる小公演が披露された。

 公演には、同校と隣接する「市神崎青少年会館」に通う小、中学生らも和太鼓の演奏で特別出演した。

 運動場には、オモニたちの手作りキムチなど各種朝鮮料理の販売コーナーをはじめ、日用品などの多彩なコーナーが設けられた。

 訪れた日本人は「朝鮮学校の生徒はみんな明るくて生き生きしている。バザーを通じて朝鮮学校に対する印象が変わった」と感想を語っていた。

 オモニ会の文圭生会長は「こんな時だからこそ学校を広く開放し、理解を得ようと思った。これまで同胞だけの集まりになりがちだったが、これを機に日本市民との友好も深めていければ」と話していた。

 

阪神初級「セットンフェスティバル」

  阪神朝鮮初級学校で11月15日に催された「セットンフェスティバル」には、同胞や父母、日本市民ら1000余人が訪れた。

 学校運営の一助にとこれまで隔年で開かれてきた「愛校節バザー」は、同胞らを対象にしていた。しかし今回は、地域の日本市民の理解を得るためにも、朝鮮学校を広く宣伝していこうとバザーの規模を拡大し、新たに「セットンフェスティバル」を企画。同校の教育会とオモニ会を中心にした実行委員会では、4月から同胞宅を訪ねて回り参加を呼びかけてきた。地元の新聞社にも働きかけて、バザーの記事を掲載してもらうなど、日本市民への呼びかけも幅広く行った。

 運動場には各種朝鮮料理の模擬店や日用品販売、ウルトラマンと一緒に記念写真を撮れるコーナーなどが設けられ、いずれも人だかりができていた。

 同日、「阪神朝鮮学校を支える西宮・芦屋市民の会」設立1周年記念集会も行われた。

 「支える会」は、96年9月に日本市民らが「朝鮮学校が阪神大震災で厳しい状況に置かれていることは日本社会の問題」と準備会を結成し、昨年10月に発足したもの。フェスティバルでは「支える会」もコーヒーショップの模擬店を出店し、収益金をすべて同校に寄付した。

 ある日本市民は「行政の補助が少なく運営が苦しい朝鮮学校の実情を知り、これからはできるだけ学校を支援したいと思う」などと話していた。

 

京都中高・公開授業

 京都朝鮮中高級学校で11月22日に行われた公開授業には、府下の日本学校生徒と教員、日朝友好促進京都婦人会、民族教育を考える会、京都市教育委員会の関係者と同胞父母ら200余人が訪れた。

 同校では、民族教育について広く知らせ、理解を得るために、今回、初めて公開授業に日本の教育関係者らを招いた。姜昌浩校長は「知り合うことが友好を築く第一歩。生徒らの素顔に触れて欲しい」と語る。

 日本人関係者は、朝鮮語や、日本語、数学、理科などの授業が行われている教室を回った。

 公開授業の後には「人権と民族教育」と題して白吉雲司法書士が講演した。

 また、生徒らによる芸術公演も行われ、合唱や吹奏楽、民族楽器「カヤグム」の演奏などが披露された。今年の「少年の主張」全国大会に出場した南政岐さん(中3)は、「出会い」と題してスピーチを行った。

 日本市民らは「生徒らによる公演はとても素晴らしかった」「今後、日本人自身が朝鮮学校の処遇改善を求める運動を行っていかなければ」などと感想を述べていた。