視点
11月26日に行われた江沢民主席歓迎の宮中晩さん会。江主席ら中国側参席者はそろって人民服(中山服)で出席した。最近ではほとんど着る人のいない人民服だが、「江主席は原則に厳しい姿勢をみせるとき、よく中山服を着る」(朝日新聞11月27日付)という。「日本側の歴史認識への対応に暗に不満を表明するとともに、中国の国内向けに厳しい対日姿勢をアピールした」(東京新聞11月27日付)との見方が有力だ。
実際、今回の訪日では日本の中国侵略の過去に対する江主席のこだわりが目立った。小渕首相との会談で「歴史と台湾の問題は、日中関係の根幹」と述べ、宮中晩さん会での演説、早稲田大学での講演でも過去の問題に多くを割いた。
その理由が日本の不誠実な対応にあることは明白。江主席によると、日本軍国主義の対中国侵略戦争によって、3500万人の中国人が死傷し、6000億ドル以上の経済的損失を被ったという。
だが、日本は言葉では悪かったと言いながら、一部閣僚から侵略を正当化する発言が再三飛び出すなど、反省の色は伺えない。今回の共同宣言でも「おわび」が盛り込まれなかった。日本が真の意味で謝罪していないことを示すものだ。心を込めて謝れば相手には伝わるはず。日本がいやいや謝っていることを、かつて侵略を受けたアジア諸国は敏感に感じとっている。
朝鮮民主主義人民共和国に対してはその謝罪すらしていない。(聖)