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「地下の宮殿」/龍門大窟(平安北道球場郡)


優雅で神秘的な美しさ/共和国最大の鍾乳洞

 自然が作り出した見事な造型美から「地下の宮殿」と称される共和国最大の鍾乳洞、龍門大窟に、国内外から多くの観光客が訪れている。

 龍門大窟は平安北道球場郡球場邑から約12キロ離れた平安南道との道境、龍門山の中腹にある。

 龍門大窟は今から約4億8000万年前、後期古生代の石灰岩地層にできた鍾乳洞で、地表の隙間から染み込んだ雨水などが長い時間をかけて石灰岩を溶解、浸食していったものだ。このように溶解しやすい石灰岩台地を「カルスト地形」と言い、共和国の各地で見られる。日本では秋吉台(山口県)が有名だ。

 龍門大窟には2つの本窟と30数個の支窟があり、総延長6キロ、床面積6万平方メートルと、共和国でも最大規模を誇る。

 秋吉台にある秋芳洞は東洋一のスケールと言われ、総延長は約10キロに及ぶ。龍門大窟は規模こそ及ばないものの、あらゆる形状の「石筍」(鍾乳洞の天井から滴り落ちた水滴中の炭酸カルシウムが沈殿・堆積して床上から上方に向かって成長した筍状の突起物)や「鍾乳石」(鍾乳洞の天井にできる氷柱状の石灰岩質の沈殿物)がバリエーション豊かに揃った洞窟は世界的にも珍しい。

 人がやっと通れるような場所もあれば、天井の高さが40メートルにもなる巨大な空間もあり、内部構造も複雑で変化に富む。このような特徴が優雅で神秘的な美しさを生み出しており、またカルスト地形の研究における資料的価値を高めている。

 観光客の人気を最も集めるのは、40メートルの高さから落ち、豪快な音を洞窟内に轟かせる「地下の滝」。このほかにも、穀物を積み上げたような形から名付けられた「豊年塔」、天井の鍾乳石と石花が珊瑚礁のように形作られた「天珊瑚洞」、天井と両壁にたくさんの花が咲き乱れるような「百花洞」、30度以上の傾斜が100メートル以上も続く「金剛宮」、壁面と天井全体が宝石のような輝きを放つ「宝石洞」、天井からぶら下がる蓮の花のようなシャンデリアが美しい「光明洞」など、見所は20余りに及ぶ。

 1996年4月19日発朝鮮中央通信によると、金正日総書記は観光地として新たに整った現地を訪れ、整備工事に携わった労働者たちの労をねぎらっている。