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京都弁護士会人権擁護委員会、京都朝鮮中高級学校で実態調査


 京都弁護士会人権擁護委員会の代表が18日、京都市左京区の京都朝鮮中高級学校を訪れ、授業内容などの実態調査を行った。日本政府に朝鮮学校差別を是正するよう求めた日本弁護士連合会(2月20日)と国連・規約人権委員会(11月5日)の勧告などを受けたもので、同委員会が朝鮮学校を調査するのは初めてのこと。同校を訪れたのは、飯田昭、村山晃、金京冨弁護士ら6人の委員。

 一行はまず、姜昌浩校長と学校関係者から教材と教育課程、内容、運営状況などについて話を聞いた。

 姜校長は、創立45周年を迎える同校は在日同胞1世が残した最大の財産だと述べ、教育内容と課外活動など民族教育の特徴について説明し、国際化と情報化が進む21世紀にはばたく有能な民族的人材を育てることが最大の目標だと強調した。

 また朝鮮と関連する教科以外は日本の私立学校と変わりない内容で授業を行っているにもかかわらず、文部省と各自治体の差別的な処遇により、助成金が平均して私立学校の十分の一程度にしかならないとしながら、父母や同胞商工人らの財政的負担は日増しに大きくなっていると訴えた。

 さらに、共和国の人工衛星打ち上げ後、相次いでいる朝鮮学校生徒に対する暴行・暴言事件についても、弁護士らが関心を持ち、事件の再発防止と解決に尽力してくれるよう求めた。

 委員らはその後、各教室を回って数学、英語、日本語などの授業を参観し、教職員らと懇談した。

 懇談の席上、教職員らは「朝高生の受験資格を求める要望書を京都大学の総長、学部長あてに何度も提出したが、事務的に処理されてしまった」「納税義務を果たしている保護者と同胞商工人の寄付金を損金扱いしないのは民族差別だ」などと強調した。

 これに対して村山弁護士は、「朝鮮学校の差別問題は日本当局の政治的政策的問題。問題解決のためにも政策が根本的に変わらなければならない。今後、委員会としても京大の学部長、教授らに受験資格の問題についてどう考えているかアンケート調査を実施する考えだ」と語っていた。

 金弁護士は「朝鮮学校の教育内容は、水準などにおいて日本学校と何ら変わらないと思う。私学並みの助成を行うべきだ。今後も朝鮮学校に対する人権侵害状況に対する調査を進めて行きたい」と話していた。

 ほかの弁護士らも、朝鮮学校に対する制度的な差別は早急に解消されなければならないと強調していた。

 人権擁護委員会は今回の実態調査に関する報告を、12月9日に京都市内で開催するシンポジウム「在日韓国・朝鮮人の人権状況」で行う予定だ。