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インタビュー/張雄 共和国体育省副相―アジア大会めざす共和国選手団について


 12月6日から20日までタイで開かれる第13回アジア競技大会に、共和国からは327人の選手団(団長=体育相の朴明哲共和国オリンピック委委員長)が参加、20種目に出場する。18人の在日同胞が選手および役員として含まれている。体育省の張雄副相(国際オリンピック委員会委員)に、今大会の展望と目標、出場種目などについて聞いた。(※インタビュー時には選手団317人、21種目とのことだったが24日現在327人、20種目の予定)

 

 ―大会に参加する共和国選手団の規模とその内容は。

 アジア競技大会に参加するのは北京での第11回大会以来、8年ぶりだ。今大会には327人の選手団を送る。

 金日成主席の逝去後、スポーツ選手たちの悲しみを考慮し、国際大会出場は控えてきた。1996年のアトランタ五輪(24選手が出場)をきっかけに、共和国は国際大会に再び出場するようになった。今年は長野冬季五輪に10人の選手が参加した。

 今回、大規模選手団を派遣するのは、これまで蓄積してきた各種目ごとの実力をまず、アジア各国の水準と比較することにある。とくに、来年から始まるシドニー五輪(2000年)アジア予選を念頭に、現時点での準備状態を見る良い機会となろう。

 そのため今大会には、これまで国際大会で活躍した選手よりも、今後期待される若い選手をたくさん送ることにした。

 選手団の構成は団長を筆頭に役員74人、指導員44人、選手207人、国際オリンピック委員会委員1人。18人の国際審判員も参加する。

 ―出場種目と期待される選手は。

 種目は、サッカー(男、女)、バスケットボール(女)、卓球(男、女)、バレーボール(女)、ハンドボール(女)、ボーリング(女)、ゴルフ(男)、レスリング(男)、柔道(男、女)、ボクシング(男)、重量挙げ(男、女)、陸上(男、女)、体操(男、女)、新体操(女)、飛び込み(男、女)、射撃(男、女)、フェンシング(女)、漕艇(男、女)、カヌー(男、女)、ソフトボール(女)などだ。

 期待されるのは、レスリング、柔道、ボクシング、サッカー、体操、射撃、漕艇、卓球、重量挙げなどだ。とくに女子サッカー、女子柔道、女子卓球など女子部門への期待が大きい。

 昨年12月の第11回アジア女子サッカー選手権大会で準優勝した女子サッカーは、来年米国で開かれる世界選手権大会に向け10月23日〜11月7日までドイツをはじめヨーロッパ各諸国遠征を行い、少なからぬ成果を収めている。

 女子柔道では、アトランタ五輪金メダリストのケ・スニ選手が出場する。この種目に出場する選手たちは、アジアはむろん世界を制覇する決意で練習に励んでいる。

 女子卓球は、アトランタ五輪後、各国際大会に参加して蓄積した経験を生かしながら現在、万全の準備を整えた。女子重量挙げも、アジアでは高い水準にあると思う。

 ―国際大会に初出場する種目があるというが。

 女子ソフトボールと女子フェンシングなどだ。

 女子ソフトボールは今年5月、世界的に高水準の中国ナショナルチームと対戦して1対1で引き分けるなど、最近、実力を上げている。

 女子フェンシングもロシア、中国などを遠征し、技術の向上に努めてきた。

 レスリング、重量挙げ、体操、ボクシング、サッカーなどの男子部門に対する期待も大きい。

 男子サッカーは今年、クウェートで開かれたアジア青年選手権大会に参加した若い選手を主力にチームを構成した。体操は、ペ・ギルス(バルセロナ五輪金メダリスト)をはじめベテラン選手と共に若い選手を多数、出場させる。

 ボクシングには7選手が出場する。51キロ級のチャ・ホチョル、54キロ級のリ・グァンシク、57キロ級のパク・チョルジュン、63.5キロ級のリ・チョルの各選手に対する期待が大きく、とくに身長178センチで好試合を展開する48キロ級のパク・チュン選手は波紋を呼ぶだろう。

 ―メダル目標数と在日同胞選手について。

 メダル獲得は、すべての選手の決意でもある。しかし今大会では、メダル数よりも、シドニー五輪を念頭に選手たちが多くのことを学び教訓を得ればよいと思っている。

 選手団には18人の在日同胞体育人が入っている。

 共和国が出場する21種目のうち唯一、ゴルフには在日同胞選手だけが参加する。また10月に共和国で開かれた人民体育大会のレスリングで優勝した鄭健二選手には大きな期待を寄せている。さらに重量挙げ3位の金太壌選手、高級部生徒ながらも堂々と3位に入賞したボクシングの白永鉄選手にも注目している。

 陸上の金尚龍、黄日錫の両選手の健闘も願っている。そして2000年のシドニー五輪では共和国国旗を揚げるという目標に向かって引き続き実力をさらに上げてもらいたい。

 在日同胞選手が競技中、共和国の代表という誇りを抱き、最後まで全力を尽くしてくれることを願う。

 

在日同胞18人も参加/5種目に9選手、役員ら9人

 在日同胞も共和国選手団のメンバーとして、選手9人、役員・指導員8人、国際審判員1人の計18人がアジア競技大会に参加する。種目はレスリング、重量挙げ、ボクシング、陸上、ゴルフの5つ。

 レスリングには、10月に共和国で開かれた人民体育大会で、グレコローマン69キロ級で優勝した鄭健二選手(27、東京都在住)、重量挙げには同大会94キロで3位に入賞した金太壌選手(27、北海道在住)、ボクシングには同大会57キロ級で3位に入賞した白永鉄選手(18、大阪朝高3年)が参加する。鄭選手は、1993年、96年、97年のアジアレスリング選手権大会、97年の世界選手権大会(イラン)にも共和国代表として出場し97年のアジア大会では4位に、世界大会では1勝をあげた。金、白の両選手は国際大会出場は初めて。高級部生としては初の国家代表となる白選手は、今大会には60キロ級に出場する。

 陸上には、男子10種競技に金尚龍選手(27、三重県在住、共和国記録保持者)、男子四百bに黄日錫選手(23、西東京在住)が参加。両選手は7月に福岡で行われた第12回アジア陸上競技選手権大会に出場し、金選手は5位、黄選手は13位の成績を収めた。

 ゴルフには、過去1年間、4回にわたって行われた選抜競技で優秀な成績を収めた「萬石(49、宮城県在住)、金重光(45、新潟県在住)、李良一(48、愛知県在住)、李源守(36、山口県在住)の各選手が参加する。

 また役員・指導員としては、在日本朝鮮人体育連合会の琴栄進副会長、在日本朝鮮人野球協会の鄭原徳会長、在日本朝鮮人陸上競技協会の「光幸理事長、在日本朝鮮人ゴルフ協会の成采準事務局長、北海道体協の金尋副会長(重量挙げ)、大阪朝高の梁学哲教員(ボクシング)、総聯徳島県本部傘下の鄭成煕氏(レスリング)、国際審判員として在日本朝鮮人柔道協会の玄昌貴理事長が参加する。