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国連・規約人権委員会、朝鮮学校差別是正などを日本政府に勧告


 「市民的政治的権利に関する国際規約」(自由権規約、国際人権B規約)の日本での順守状況を審査した国連・規約人権委員会は5日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で、@朝鮮学校への制度的差別是正A外国人登録法の是正B永住外国人が海外へ行く場合の再入国許可制度の廃止――などを日本政府に勧告した。日本政府の審査は4回目だが、勧告に朝鮮学校差別の是正が盛り込まれたのは初めて。この問題については国連子どもの権利委員会も6月に勧告しており、日本政府の差別の論理が世界には通じないことが改めて明らかになった。

 

外国人登録法の是正も

 自由権規約の各締約国政府は5年に1回、規約の順守状況に関する報告書を規約人権委に提出。規約人権委はこれをもとに、締約国政府代表と公開の場で議論しながら審査を行う。

 規約人権委が日本政府に対する審査結果をまとめた最終見解は、A「はじめに」、B「積極的な側面」(3項)、C「主要な懸念事項と勧告」(30項)からなる。Cのうちの3項が、在日朝鮮人問題と直接関連。要約すると、@朝鮮学校差別を含む在日朝鮮人への差別の事実を懸念するA外国人登録証の常時携帯を義務づけこれに違反した際は刑罰対象となる差別的な外国人登録法を廃止すべきだと、再度勧告するB日本で生まれた朝鮮人などの永住者に関して、前もって再入国の許可を取得する必要性を取り除くよう主張する――となる。ほかに、人権侵害の申し立てを調査するための独立した機構を設置するよう勧告した項もある。委員会は、日本政府がこれらのコメントに基づいた政策を立て、人権侵害の被害者に対して救済措置を取るよう勧告している。

  この最終見解は、世界各国から選ばれた専門家18人による規約人権委全体の意見として正式に採択されたもの。これ自体に法的拘束力はないが、国内で関連する訴訟や政策決定などの際、条文解釈の具体的で説得力ある基準として使用し得る。その意味は重い。

 在日本朝鮮人人権協会の趙纒怏長ら総聯代表一行は10月21日〜29日、現地を訪れ、在日朝鮮人差別を巧妙に隠ぺいした日本政府報告書の不備を明らかにし、差別政策の実態と不当性を委員らに訴えた。

 10月28〜29日に行われた日本政府報告書審査の際には朝鮮学校差別など一連の問題が大きく取り上げられた。しかし、日本政府代表はあいまいな答弁を繰り返し、委員の間からは「日本政府は在日朝鮮人に対する認識を改めるべきだ」などの声が上がった。

 

 趙纒怐E在日本朝鮮人人権協会会長の話 規約人権委の最終見解は、在日朝鮮人への差別に深い懸念を示し、日本政府にその解消を強く求める勧告を行った。これは、5年前の前回審査の際に委員会が示した在日朝鮮人差別に関する懸念事項が何ら解決されておらず、また解決しようともしない日本政府のかたくなな態度に強く警鐘を鳴らしたもので、歓迎する。日本政府が勧告を受け入れ、在日朝鮮人に対するあらゆる差別をなくす措置を速やかに講じるよう強く求める。何よりも朝鮮学校差別をただちに改め、国立大学受験資格付与と国庫による助成を行うべきだ。さらに、ことあるごとに繰り返される朝鮮学校生徒に対する暴行や脅迫、また在日朝鮮人団体の役員が殺害されるなどの事件が再び起きないよう、日本政府は実効性ある具体的措置を講じるべきだ。