インターナショナル・ピープル・カーニバル/堺朝鮮初級提案で4回目
堺朝鮮初級学校が中心となり市内の外国人、日本人らが共同企画した第4回インターナショナル・ピープル・カーニバル(主催=同実行委員会、後援=堺市、堺市教育委員会)が8日、大阪・堺市の大仙公園で開かれ、朝・日はもちろん、中国、タイ、マレーシア、エジプト、スーダン、ナイジェリア、マリ、パラグアイ、ブラジル、ペルー、ボリビアなど世界各国の人々1万余人で賑わった。堺初級父母らの学校支援運動の一環として1995年に始まったカーニバルも今年で4回目。年々参加者も増え、地域の国際交流の場として定着した。同時に、地域で朝鮮学校への理解と支持を広げるための貴重なチャンスともなっている。
在日外国人ら1万人で賑わう
ステージでは、幡谷豪男堺市長からのメッセージ紹介に続き、堺初級の歌と踊りをはじめ各国の生徒が学ぶ殿馬中学校夜間学級のタイ舞踊、日本舞踊と琴の演奏、沖縄民謡、フィリピンダンス、バンド演奏など、国際色豊かな出演者によるバラエティーな演目が次々と披露された。
また今回、朝・日の有志らが共作したテーマ曲「ワン・ハート」が披露された。作詞したのは元堺初級オモニ会会長の姜京子さん。「毎年カーニバルの季節が来ると、みんなに会いたいなという気持ちになるよう作詞した」と語る。
ステージのラストでは、民族衣装を着て登場したポルトガル人のガス・フェイスさんが参加者を代表してアピール文を朗読。「来年の5周年を目指し、カーニバルをもっと実り多いものにするために頑張ろう」と呼びかけた。
会場には各国の料理が並ぶ屋台が軒を連ね、1日中行列が絶えなかった。各種バザー、抽選会なども好評だった。
母国の民謡を披露した大阪在住ベトナム人女性のティエト・フンさんは「堺市民の交流の場として、これからも応援していきたい。」と話す。昨年11月から日本で暮らすインドネシア人のユヌスさんは「日本語もまだ片言で友人も少なく、寂しいと感じることも多かったので、たくさんの国の人と知り合えてとても嬉しい」と語っていた。
同胞、父母ら知恵出し合い
95年から始まったカーニバルを提案し、中心となって運営してきたのは堺初級。校内行事として行われていたバザーを、堺市全体を巻き込んだ地域的な行事に発展させた。同校教育会の洪性元会長が第1回目から実行委員長を務める。
同校では、学校運営の一助にと10数年間毎年バザーを開いていたが、対象が主に父母を中心とした同胞とあって参加数、収益ともに頭打ちの状態になり、打開策を模索していた。95年3月、堺市議会が「定住外国人に対する社会保障と人権保障の確立を要望する決議」を採択したことに着目し、地域での国際交流を通じて民族教育をアピールすることを思いつく。
このアイデアを具体化したカーニバル開催の企画に、多くの日本市民と外国人の団体、個人が賛同。堺市と堺市教育委員会も後援することになった。
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大きなイベントに育ったカーニバル。でも中心的役割を果たしてきた堺初級は、保護者戸数が30に満たない小規模校だ。
ここまで来れたのは、「『学校のために』という一つの目的で同胞、父母が団結し、力と知恵を出し合ってきた」(金丙蓮オモニ会会長)から。今年も教育会理事やオモニ会役員などの学校関係者はもちろん、総聯と女性同盟、朝青支部、地域商工会と朝銀などが実行委に参加し、堺の同胞社会をあげて準備に取り組んだ。
毎年、大正琴演奏で出演している今井和子さんは「カーニバルを通じて朝鮮学校と関わりを持つようになり、公開授業に参加するなどして在日朝鮮人の民族教育について知った」と話す。カーニバルを通じた交流は、確実に朝鮮学校支援の動きへと波及している。
今年九月、同校創立50周年を記念して2000万円の予算で新築した多目的ホールと食堂の建設には、74の日本の市民団体および個人による寄付金が200万円以上も集まった。堺市も500万円を補助する方向で検討中という。
洪実行委員長は「この4年間で朝鮮学校支援の輪は確実に広がりつつある。ただ外に向けてアピールするのではなく、アピールすべき対象である日本市民らと一緒に一つのイベントを作り上げて行く過程を通じて、その輪がよりしっかりとしたものになっているのを実感する」と話していた。