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時事・解説/汎青学連南側本部・「韓総連」金大元、黄嬋両代表の訪北


 祖国統一汎民族青年学生連合(汎青学連)南側本部・「韓国大学総学生会連合」(「韓総連」)の金大元(建国大4年)、黄嬋(徳成女子大4年)両代表が8月に訪北し、「民族の和解と団結、統一のための大祭典」(8月15日、板門店)や北側歴史遺跡共同踏査、共同学術討論会に参加、大学交流や各地参観など精力的な活動を行った。両代表は様々な行事を通じ、民族の最大の願いである統一を自分たち若者の力で実現させたいという思いを一層強めた。黄代表は1人で3日午後、板門店を経て南側に帰還したが、その場で「国家安全企画部」に「国家保安法」違反容疑で拘束。同族敵視・反北対決に固執する南朝鮮「政権」の本質が改めて浮き彫りになった。(根)

 

若い力で祖国をひとつに/変わらぬ純粋な思い

 「外勢による祖国分断から53年目を迎える朝鮮民族の最大の願い、課題は、祖国を一つにし、断たれた民族の血を取り戻すことです。『韓総連』100万学友の意志を代表し、われわれは統一行事に参加します」。8月7日の到着声明でも語ったように、彼らの今回の訪北は、祖国統一を何としても自分たち若者の力で実現させたいという、純粋でひたむきな思いによるものだった。

 汎青学連南側本部と「韓総連」の訪北を南当局が阻んだため、2人はソウル・金浦空港からフランス―ベルギー―オランダ―ドイツ―中国と5ヵ国経由でやっと平壌入り。しかし、平壌空港に到着した彼らの表情は明るく、すがすがしさに満ちていた。

 両代表は訪北後まず、統一大祭典に参加。板門店を中心に行われた汎青学連総会や汎民族会議などに、南側代表として出席した。開城市への到着時や平壌市内の行進では、沿道から市民らの盛大な歓迎を受け、民族の血は一つであることを再確認した。

 泣きながら抱き締めてくるハルモニ(おばあさん)、共に肩を組みシュプレヒコールを上げる大学生、屈託のない子供の笑顔…。北側に暮らす同族の姿に接し、金大元代表は「南北がこうして一つになったのを見て、統一の日は決して遠くないことを確信した」と率直な意見を述べた。黄嬋代表もまた、学生運動を「取り締まる側」である警官の父親との葛藤に悩みながらも、「たとえ投獄されても『韓総連』は統一の道を喜んで進むだろう」と誇らしげに語った。

 2人はこの後、北側歴史遺跡共同踏査団の一員として、汎青学連北側・海外本部代表らと共に、白頭山や妙香山、檀君陵などの名勝地を参観。白頭山頂では「マンセー(万歳)」を叫んで喜びを爆発させた。また、金日成総合大学や金策工業総合大学などを訪れて大学生と交歓会を行い、統一実現における若者の役割について熱い討論を交わした。

 黄代表は10月3日に板門店を経て南側に帰る予定だったが、滞在を急きょ1ヵ月延期して、第2回共同踏査実現を目指す集会などに参加。そして今月3日、全日程を終えて板門店を経て帰還となった。

 

「統一願うのがなぜ罪?」/南帰還直後に拘束、高まる非難

 両代表の訪北直後から帰還後の逮捕を公言し、8月28日には同じく訪北した文奎鉉神父を逮捕(10月20日に保釈)した南当局は、黄嬋代表が軍事境界線を越えた直後に、安企部を使って身柄を拘束した。

 これに対し、平壌に残った金大元代表は声明で、「個人の安楽を捨て、民族の宿願である統一に身を捧げたことが罪になるというのか。誰も決して彼女を罪人とは呼べない」と非難して当局を告発、保安法撤廃を求めた。

 「韓総連」傘下のソウル地域大学総学生会連合も3日に西江大で緊急大会を開き、弾圧行為を強く非難した。

 一方、板門店で統一大祭典が行われていた8月15日、ソウル大で予定された統一大祭典に対し、当局はヘリコプターで催涙弾を散布して500余人を連行、板門店に向かおうとした93人も連行するなど、計830人以上の学生を拘束した。8月末現在で258人の学生がいまだ囚われの身だ(民主化実践家族運動協議会調べ)。

 現「政権」下で「韓総連」瓦解策動、統一運動弾圧はより巧妙さ、狡猾さを増している。例えば、思想転向制度を廃止し新たに導入した遵法誓約制度は、「思想の自由は保障するが、頭で何を考えようと、行動と言葉で『大韓民国』を否定せず、暴力も使わないと約束し、誓約書に署名すれば釈放する」というもので、本質的には思想転向制度と変わりはない。

 対象者には「法の遵守」を求めており、これには当然、保安法も含まれる。8月末現在の良心囚402人のうち、約67%が保安法の適用者。保安法違反で逮捕された良心囚にその保安法の遵守を約束させる同制度に対し、非難の声は根強く、投獄中の良心囚も多くが署名を拒否、全員の即時無条件釈放を求めている。

 鄭周永・南朝鮮現代グループ名誉会長一行の訪北と金剛山観光事業の推進、尹伊桑統一音楽会へのソウル演奏団の参加などは認め、同じ民間人である大学生や牧師の訪北は「利敵行為」として弾圧する2重基準が、南の現「政権」には存在する。口では統一を叫びながらも狡猾な手段で統一運動を阻み、かたくなに反北対決政策を追求している。

 同族敵視・反北対決の道を変わらず進むのか、あるいは連北和解に政策を変え、民族の和解と団結の道を歩むのか。南当局の姿勢が問われている。

 

統一の歩みは阻めない/黄代表がメッセージ

 黄嬋代表は南への帰還に先立ち、板門店で「民族に伝えるあいさつ」と題するメッセージと一編の詩を発表した。このうち、メッセージの内容を紹介する。

   ◇    ◇

 北を思う気持ちを苦労して否定し、他の民族の離間策動の中で兄弟を敵と見なすよう強要されている4000万民衆、私はそちらに再び帰ります。

 外勢のおかげで国を生かせるという嘘のせいで、どれだけ多くの人たちが路頭に迷っているでしょう。「親米で亡びた国を反米で救おう」という労働者の叫びが胸を打ちます。

 民衆の声がこうであるのに、誰かは統一と民族自主を叫ぶ私のような者を「利敵」だと称します。私が、民族の安寧と秩序を壊すために遠い道程を経て北の同胞に会いに来たとでも言うのでしょうか。

 私が壊そうとしたのは、自主、民主、統一の時代が開かれることを恐れる人たちの黒いカーテンと、民衆を押さえ付ける既得権の汚れた仮面です。

 私は彼らのような反統一、反民主勢力にとっては罪人であるかもしれないが、真に私を裁けるのは歴史であり、自主、民主、統一を願う民衆の心であるので、彼らの声に耳を傾けることはないでしょう。

 (南に)帰ります。そして変わらずたたかい続けるでしょう。

 分断線が消えるその日のため、「韓総連」100万学徒よ、生存権を脅かされている民衆よ、共にたたかうこの日を待ちわびました。

 私たちの道を銃剣で阻めるのならば、この暴圧の歳月を耐え、今までたたかってはこれなかったでしょう。自主、民主、統一の歩みは誰が何をもってしても阻めないでしょう。