視点
スペースシャトル「ディスカバリー」のニュースがマスコミを賑わせている。日本人宇宙飛行士向井千秋さんの2度目の搭乗、36年ぶりに宇宙飛行士に復帰した77歳のグレン上院議員など、話題には事欠かない。
宇宙から笑顔を送る彼らの様子を画面で見ながら、ふとこんな疑問がわいた。「同じ宇宙の平和利用なのに、何故米国のスペースシャトルは歓迎されて、共和国の人工衛星は非難の対象になるのか」
防衛庁は10月30日、共和国の衛星打ち上げを「弾道ミサイル」と結論づける最終報告を発表した。中国、ロシアだけでなく米国、南朝鮮まで衛星と認める中で、日本だけが「ミサイル」に固執していたが、これを再確認した形だ。
一方で報告は、「極めて小さな物体を地球周回軌道に投入することについての理論的な可能性を完全に排除することはできない」と、事実上衛星だと認める矛盾する見解も示している。
にもかかわらず日本政府が「ミサイル」と言い張るのはほかに目的がある。軍国化推進の口実に利用しようというわけだ。米国との戦域ミサイル防衛(TMD)構想の共同研究を正式に決めたことは端的な例だが、今度公けになった情報衛星導入の全体像を示す日本政府の素案によると、2002年までに4基を打ち上げ、利用を開始するという。
共和国の「脅威」を利用して着々と進む日本の軍事大国化に警戒心を強める必要がある。(聖)