時事・解説/第3回4者会談
2分科委員会での議題は朝米平和協定、米軍撤収を
次回会談(1月中旬)で具体的論議
ジュネーブで21〜24日行われた共和国、米国、南朝鮮、中国による第3回4者会談は、2つの分科委員会設置と、第4回本会談の来年1月中旬開催・(ジュネーブ)で合意を見た。(基)
緊張激化の要因は米軍
4者会談は「恒久的平和協定を実現する過程を始めるためのもの」として、米・南朝鮮が提案し、昨年12月に第1回会談、今年3月に第2回会談が開催されたが、議題を明確にすることを主張する共和国と分科委の設置を先に求める米・南朝鮮との間で意見の相違を埋めることができず、こう着状態に陥った。
今回の第3回本会談でも米・南朝鮮は、議題の設定よりも「分科委員会の早期設置」(日本経済新聞23日付)を求めた。これに対し共和国は、会談目的に沿って「@南朝鮮駐屯米軍の撤退 A朝米平和協定の締結 B朝鮮半島への軍備搬入禁止 C(米・南朝鮮)合同軍事演習の中止」(朝日新聞24日付)を議題に入れなければならないと強く主張した。
米国は4者会談を行う一方で、南朝鮮と「朝鮮半島有事」を想定した合同軍事演習「98フォールイーグル」(26日〜11月6日)を展開しようとしている。南朝鮮駐屯米軍こそ朝鮮半島の緊張を高めている原因であり、共和国の脅威でもある。李根次席代表が「分科委員会の設置自体には反対しないが、議題が重要だ。人が会う時、何について話し合うか決めてから会うものだ」(22日=時事)と議題を明確にしようと主張したのもそのためだ。
会談目的に合わせて
しかし第3回4者会談では、2つの分科委設置で合意を見たが、議題問題では最終的な合意を見ることができなかった。分科委の設置は「会談の途中経過で決定されたものであり、(共和国の)議題化要求の基本姿勢は変わらない」(金桂寛首席代表、毎日新聞27日付)。そのため会談終了後の共同発表文でも、第4回本会談では「朝鮮半島の平和体制構築と緊張緩和を論議する」に止まった。
しかし、持ち回りにより共和国が議長国を務める第4回本会談では、会談目的に合わせて会談をスムーズに進めるためにも、「分科委員会などでは朝米間の平和協定締結問題と米軍撤収問題を基本に、朝鮮半島で強固な平和体制を構築するための問題などが具体的に論議されるだろう」(共和国外務省スポークスマンが26日言明)。中国外務省スポークスマンも4者会談について、「米朝平和協定の締結問題は必ず4者の協議で解決できる」(日本経済新聞21日付)と強調した。
「実態は朝米会談」
一方、4者会談の合間に朝米協議が頻繁に行われ、朝米基本合意文履行問題と2国間懸案問題を話し合った。4者による20日の準備会合、21、22日の会談後だけでも朝米はそれぞれ2国間協議を行っており、「従来にも増して、4者会談の実態が『米朝2国間協議の場』であることを示している」(東京新聞23日付)。これは対北政策を巡る米議会などの強硬姿勢を抑え、朝米関係の改善を図ろうとするクリントン政権内の事情とも関連する。
李根次席代表は22日、記者団に「米国との協議がうまくいけば、4者協議も順調にいく」と語り、米国との個別協議が事態打開のカギを握るとの認識を示した。
一方、共和国首席代表の金桂寛外務省副相と20日に協議を行った米国首席代表のカートマン朝鮮半島和平交渉担当特使も、「幅広く意見交換し、2国間の問題についても話し合った」(日本経済新聞21日付)と述べ、同氏の「訪朝問題についても論議」(毎日新聞27日付)した。
4者会談の今後の進展具合は結局、朝米関係の進展と密接につながってくるものと思われる。