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在日朝鮮体育人代表団121人の選手、第9回人民体育大会に参加


 【平壌発=文と写真・本社記者高英民】9〜20日に平壌で行われた第9回人民体育大会に、在日朝鮮体育人代表団(団長=金露顕・在日本朝鮮人体育連合会会長)が参加した。121人の選手がサッカー、卓球(男女)バレーボール(男)、バスケットボール(男女)、レスリング、ボクシング、重量挙げの7種目で熱戦を繰り広げ、レスリングの鄭健二選手(27)が金、重量挙げの金太壌選手(23)とボクシングの白永鉄選手(大阪朝高3年)がそれぞれ銅メダルに輝いた。同大会は、5年に一度開かれる共和国最大のスポーツ大会で、在日同胞選手らは第7回大会以来2度目の参加となる。今大会は12月にタイのバンコクで開かれる第13回アジア大会の代表選考も兼ねており、鄭健二、金太壌の両選手が共和国代表候補に選ばれた。

 

◆レスリング

69キロ級で鄭健二選手が金

 12日に重競技館で行われたレスリングのグレコローマン69キロ級に出場した鄭健二選手(27、東京在住)は、1、2回戦を順当に勝ち進み、続く準決勝、決勝とも強豪を退け見事優勝を果たした。鄭選手としては2度目の全国優勝。

 鄭選手は、96年2月に平壌で行われた「白頭山賞」総合スポーツ大会のグレコローマン68キロ級で優勝し、中国でのアジア選手権大会の共和国代表に選ばれた。

 その後、96年10月の共和国選手権大会では3位に終わっていた。

 鄭選手は「今回は減量もうまくいき、絶好のコンディションで試合に臨めた。『白頭山賞』以降、何度も優勝を逃してきただけに今回の優勝はとても嬉しい。アジア大会でも頑張りたい」と抱負を語っていた。

 

◆重量挙げ

94キロ級で金太壌選手が銅

 12日に重量挙げ競技館で行われた重量挙げ94キロ級に出場した金太壌選手(23、北海道在住)。ジャークで120キロを成功させ、スナッチでも155キロを余裕でクリアした。スナッチで、自己新記録を狙い165.5キロに挑戦するも、これは失敗。それでも3位の好成績だった。

 金選手は北海道朝高に在学中、道内でトップレベルの実力を持ちながら、「幻の高校記録保持者」と言われていた。全国高体連が朝鮮学校の加盟を認めず、道高体連も金選手を「道レベルの大会」に限定したためだ。

 共和国での大会に初めて出場した金選手は「祖国で自己記録を更新できなかったことが悔しい。共和国の軽量級の選手らが、世界でもメダルを狙える高い実力を保持しているのに驚いた。僕も共和国代表として、世界の大会に出場できる日を目指して練習に励みたい」と話していた。

 

◆ボクシング

57キロ級で白永鉄選手(大阪朝高3年)が銅

 平壌体育館で行われたボクシング競技。日本の全国高等学校ボクシング選抜大会(3月21〜24日)で、朝高生として初の優勝を手にした白永鉄選手(大阪朝高3年)が、関係者らの注目を集めた。

 白選手が臨んだ57キロ級には19人が出場。試合は2分5ラウンドで行われた。

 2回戦(13日)から競技に出場した白選手は、平安南道のキム・ミョンヒョン選手に連打を浴びせ、5−0の圧倒的判定で勝利をものにした。

 18歳以下の選手は白選手を含む3人がエントリーしていたが、初戦を勝ち越したのは白選手だけだった。

 続く3回戦(15日)でも順調な試合運びで咸鏡南道のリ・ガンイル選手に5−0の判定で圧勝した。

 準決勝(17日)の相手はナショナルチームのキム・ヨンマン選手。自分より格上の選手を相手に一歩もゆずらない白選手のファイトに、観客からは惜しみない拍手が送られた。最終ラウンドで、白選手は果敢に攻め込むが、0−5の判定負けに終わった。

 19日に、平壌体育館で行われた表彰式で銅メダルを授与された白選手は、「最後まで自分のリズムを保って試合を進められたのが良かった。準決勝で敗れたのは残念だったが、メダルを手にしてみると自然に嬉しさが込み上げてきた。今後も朝大でボクシングを続け、将来アジア大会や五輪に出場できるよう、一層練習に励みたい」と笑顔で語った。

 

◆その他

男子バスケット善戦

 平壌体育館で行われたバスケットボールには、男女ともに7チームが参加した。

 在日同胞男子チームは、1回戦(10日)で機関車体育団を74−67、体育大学を80−66で破るなど、3試合を通じ2勝を上げる健闘を見せた。

 張幸一選手(27、東京在住)は「平均5センチ以上も身長が高い共和国選手を相手に2勝を勝ち取ることができ、とても嬉しい。祖国での経験を生かし、在日同胞選手のレベルアップを図りたい」と語った。

 女子も健闘はしたものの、平壌市に68−87、豆満江に75−100、機関車に64−71と全敗した。

 沈里美選手(25、兵庫在住)は「今まで共和国を2回訪問して交流試合を行ったことはあったが、公式試合に出場するのは初めて。各道から選ばれた優秀な選手らと一緒に練習し、競技することができてとても楽しかった。試合を通じ、共和国の水準が以前に比べて高くなっていることを実感した」と感想を述べた。

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 サッカー(羊角島サッカー競技場)は、予選を勝ち抜いた鯉明水、鴨緑江、機関車、自動車の各専門体育団と在日朝鮮蹴球団の5チームの間でリーグ戦が繰り広げられた。

 蹴球団は機関車を3−2で下し一勝を上げたが、自動車に1−3、鯉明水に0−2、鴨緑江に0−2で敗れた。
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 バレーボール競技館で行われた男子バレーボール。在日同胞チームは豆満江との初戦では1セット目を先取したものの、続く3セットをすべて落とし1−3で負けた。機関車と牡丹峰にはそれぞれ0−3で敗れた。

 趙徳洙選手(26、大阪在住)は「若い選手たちは試合の雰囲気に呑まれ、実力を発揮できなかったようだ。今後、共和国の選手らと交流を深め互いに切磋琢磨したい」と語った。

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 卓球競技館で行われた卓球団体戦は、3選手ずつが出場し、3ゲーム先取を競う形で行われたが、在日同胞チームは男女いずれも全敗を喫し、苦杯をなめた。

 趙恵理選手(18、大阪朝高3年)は「2月の大阪国際招待大会に参加した時より緊張した。後半に逆転される展開が多く、最後まで粘り強く試合を続けるためにも集中力を養うのが今後の課題だ。今度、共和国の競技に参加する機会があれば、その時は必ず一勝を上げたい」と話していた。