埼玉・大宮南小学校で埼玉朝鮮初級生招いて交流授業
朝・日の遊び通じて友情育む
埼玉県大宮市の市立大宮南小学校2年2組で19日、「国際理解教育」の一環として行われた授業「いっしょにあそぼう(ノルジャヨ)」に、同市内にある埼玉朝鮮初中級学校の初級部2年生が招かれた。両校の2年生は、昔からある朝・日両国の遊びを共に楽しみながら交流を深めた。(琴)
差別、偏見ない社会を
大宮市は文部省から国際交流推進地域として指定されている。中でも大宮市立大宮南小学校は、「センター校(小学1校、中学1校)」として、16年前から「国際理解教育」を推進してきた。
「幼い頃から異文化に接し、差別や偏見のない日本社会を築く意識を身に付けるための『国際理解学習活動』を提案してきた」(川崎快史校長)大宮南小では、地域に住む外国人との交流を授業に積極的に取り入れ、中国人講師による講演会なども行ってきた。
そうした中、2年2組担任の高橋節子先生(49)は、図工の研修会で聞いた「遊びは世界共通」という講師の言葉をきっかけに、大宮南小と隣接する埼玉初中生徒との交流を思いついた。そこで、生活科(社会科と理科が統合された新教科)、国語、図工の授業時間を使って「朝鮮学校の子と一緒に遊ぼう」という7時間分の単元を特設。1時間目から5時間目までは2年2組の中で、「朝鮮の子供たちと何をして遊びたいか」を話し合ったり、朝鮮語のあいさつなどを学んだ。また、朝鮮学校の生徒らと自画像などを書いた自己紹介カードを交換し合うなどして、一緒に遊ぶ日を心待ちにしていた。こうした過程を経て、六時間目の生活科の時間に埼玉初中の交流会が実現した。
「『遊び』というコミュニケーションを通じて、人と触れ合う楽しさを子供たちに知って欲しかった。また、朝鮮学校の生徒らと自国の遊びを紹介し合い、一緒に遊び、じかに触れ合う実体験を通じ、異文化を理解する貴重な糸口にしたかった」と高橋先生は語る。
次第に打ち解けて
当日、生活科の授業として行われた交流会では、まず大宮南小の2年生37人が、「アンニョンハシムニカ」と覚えた朝鮮語で元気よくあいさつしながら、埼玉初中の初級部2年生23人を出迎えた。
交流会は、軽快な音楽が流れる中、朝・日混合で3〜4人ずつのグループに分かれて、コムチュル(ゴムとび)、ペンイ(こま)、ノルティギ(板飛び)、竹トンボ、ビー玉など朝・日双方の遊びを互いに紹介し、教え合う形で行われた。
初めのうち、緊張した表情でなかなか一緒に遊ぼうとしなかった生徒たちだったが、遊び道具を交換したり教え合う中で、自然に打ち解けていった。胸元に付いている自己紹介のカードを見て名前を呼び合ったり、「こうするとうまくできるよ」などと互いにアドバイスし、コミュニケーションを図っていた。
45分の合同授業を終えた生徒らは、「みんなと遊べて楽しかった」、「(遊びを)親切に教えてくれてありがとう」などと感想を発表し合った。
良いモデルケース
授業には、大宮南小の教員だけでなく県内の教育関係者らも見学に訪れた。
大宮市立教育研究所の大澤敬指導主事(42)は「国際交流といっても、まだまだ隣人、隣国であるアジアに目が向かないのが現状だ。教育の国際化において、最も身近なアジアは無視できない存在だ。両校の合同授業は、モデルケースとして他の学校の良い参考になると思う」と語った。
埼玉初級部2年担任の文暎伊教員(24)は「生徒らは、日本学校との交流の中で、普段あまり感じない『朝鮮人』としての自分を改めて認識したようだ」と感想を述べた。
仲良く遊ぶ生徒らの姿に高橋先生は「限られた時間だったが、生徒らは互いの違いや類似点などを肌で感じたと思う。今後も手紙のやりとりなどを通じて交流を続けていきたい」と話していた。