時事・解説/チュチェ思想に関する全国セミナー(沖縄)
沖縄県那覇市内のホテルで10日に行われた「沖縄・日本・アジアの自主に関する全国セミナー」。今回のセミナーは、日本政府が共和国の人工衛星打ち上げを「ミサイル発射」と決め付け、「制裁措置」をとるなどかつてない厳しい反共和国キャンペーンが繰り広げられている中で行われた。会場からは共和国の人工衛星打ち上げ問題など正しい朝鮮観を持って対処しなければならないことや、米軍基地返還を実現して日本の自主化を促進させるべきとの声が多く聞かれた。(基)
日本の軍国化に警戒
共和国の人工衛星打ち上げ問題については、米、ロ、中など世界中が認めたにもかかわらず、いまだに日本政府だけが「ミサイル発射」と決め付け、それに準じてマスコミが大々的に報道していることで、日本市民の間では「ミサイル」という先入観が少なからず植え付けられている。
高知県在住の武田伸二郎さん(38、中学校教諭)も日本の新聞報道を通じて当初は「ミサイル」と思ったという。だが朝鮮時報を読むと、それが共和国の発表どおり人工衛星であると納得でき、逆に、日本政府の見解について疑問を抱くようになったと言いながら、「日本政府、マスコミのこうした対応は、共和国に対する偏見に基づいており、われわれは共和国に対する情報を正しく分析しなければ大きな過ちを犯す」と強調する。
玉城勉・沖縄県職員労働組合副執行委員長は、「NASAも人工衛星だったと認めているのに、日本だけがいまだに『ミサイルでも人工衛星でも脅威は同じ』との立場を取っている。実際、共和国の脅威をあおることで新たな日米防衛協力指針(ガイドライン)の関連国内法案の制定を急いでいる」と、日本が軍事大国化の道を進むことに対して警戒心を高めていた。
埼玉大の鎌倉孝夫教授は「ミサイル騒動に見られるように日本政府の軽率な行動は、朝鮮植民地支配に対する過去の侵略行為を美化する意図が露骨に表れたものだ。これは過去の罪について補償もしたくないという日本政府の本音でもある。北侵戦争を想定した米国・南朝鮮による合同軍事演習乙支・フォーカス・レンズが展開されるなど、共和国こそが脅威を受けている国であることを認識しなければならない」と語っていた。
自治、自立、平和
朝鮮戦争(50〜53年)の際、米軍の朝鮮出撃基地となった沖縄は、現在も「朝鮮半島有事」、ひいては東アジアでの緊急時の前線基地としての役割を担わされており、米軍基地があるために沖縄の人々は米軍人の犯罪、演習中の事故、騒音など様々な苦労を強いられている。そのため沖縄における米軍基地の返還問題は、沖縄県民の願いである自治、自立、平和を実現するためのたたかいでもある。現在、在日米軍4万2000人の7割が沖縄に配備されている。
「実際に沖縄に来てみて米軍基地を撤収させたいという現地の人々の強い意思を改めて感じることができた」と語るのは長野県在住の内藤薫さん(43、会社員)。「米国は沖縄の基地を世界戦略の中に位置づけている。そして南北朝鮮が統一した後も米軍を南に駐屯させようとしている。沖縄の米軍基地撤収、南朝鮮駐屯米軍撤収を通じて、アジアの真の平和、自主を取り戻さなければならない」と強調する。
日本の自主化について千葉県在住の砂川美恵子さん(44、主婦)は、「米軍基地の存続など日本政府は米国の言いなりになるのではなく、市民のために自主化に尽くすべきだ。日本人も、市民の団結した力で米国の圧力に屈することなく自主性を守り真っ向から立ち向かっている共和国をもっと知り、理解して学べば、米国に追従することもなく、共和国のように自主的に生きて行ける道を探すことができる」と述べていた。
厳しい情勢の中で開催されたセミナーは、人間中心のチュチェ思想に基づき自らの運命を切り開こうとする各地の日本市民の意志を再確認するとともに、朝鮮人民と連帯する運動をさらに活発に繰り広げていく契機となった。