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「手紙」/少年の主張大阪府大会最優秀賞 東大阪朝中3年 朴美玲さん


 第20回少年の主張大阪府大会(9月5日、大阪市)が行われ、東大阪朝鮮中級学校3年の朴美玲さんの「手紙」が最優秀賞に選ばれた。同大会には、府内の中学生から1603点の作品が寄せられた。その中から作品が選ばれた12人が参加、発表した。朴さんは大阪府代表として、全国大会(11月、東京)の出場候補者に推薦された。朴さんの作品「手紙」の内容を紹介する。

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 皆さん、皆さんも手紙を書いたことが一度はあるはずです。

 転校してしまったあの子に、遠い田舎のお婆さんになど、色んな人に色んな手紙を書いたことがあると思います。

 では皆さん、皆さんは日本に住んでいる、他の国の人と手紙をやりとりしたことはありますか。

 私は今、日本人と文通をしています。

 私は彼女と、小学5年生の時に通っていた英会話スクールのウィンターキャンプで知り合いました。

 その時私は、朴美玲という本名で参加したのですが、その時「あんたは中国人なん?」と、声をかけてくれたのがきっかけで仲良くなり、文通することになりました。

 最初はテレビの話、友達や好きな人の話などを書いたりしてたのですが、中学に上がってお互いの学校のことを手紙に書いたりしていました。

 そんなある日、彼女から電話があったんです。

 彼女は、私の学校のサッカー部が、全国大会に出場しただけで、テレビや新聞に出たことを疑問に思ったようで、私に電話をかけてきました。

 私はその質問にこう答えました。

 「前までは、いくら試合に勝っても全国大会に出場する権利がなくて出場出来なかったけど、去年やっとその権利を得て全国大会に出れてん。だからテレビや新聞に出てん」

 彼女はすごく驚いた様子でした。なぜなら彼女はこんなところまで差別があることを知らなかったからです。そして彼女は最後にこう言いました。

 「そんな差別、早うなくなったらええのに」

 この言葉を聞いた時、私はびっくりしました。なぜなら、私はその時まで彼女が私のことを本当はきらいじゃないだろうか? 朝鮮人だからといってばかにしているんじゃないだろうか? ましてや差別はあった方が良いと思っているんじゃないだろうか? と、少し思っていたからです。

 私は、自分はなぜ彼女のことを心の底から信じてあげなかったんだろうと、なぜ信じなかったのかと、強く自分を責めました。

 そして心から友達と思っていてくれた彼女に、どう言ってあやまればいいか分かりませんでした。

 私はその日から、自分で大切な友達を1人、失ってしまったんだと思うようになりました。

 そんな時、彼女から手紙が届きました。

 そこにはこう書いてありました。

 「そんな差別をなくすために一緒にがんばろう…」 びっくりしました。そして、友達がいかに素晴らしく、大切かということを身をもって知りました。

 学校の中にいる子たちだけが友達じゃなく、他の民族どうしでもちゃんと心の通じ合った本当の友達になれるということを知りました。

 皆さん、皆さんには大切な友達がいますか、友達を作ることは決して簡単じゃありません。

 けれど、自分の心の通じ合った本当の友達がいるのなら、必ず1日が楽しいはずです。1日が楽しくて楽しくて仕方がないはずです。

 皆さん、友達を作りましょう。心の通じ合った本当の友達を…。

 そして胸をはって言いましょう。心の通じ合った本当の友達がいると…。

 私は言えます。胸をはって言えます。

 手紙を通じて心の通じ合っている友達が、私にはいます!