実証//共和国の人工衛星(下)日本政府の「規制措置」
軽挙な外交、国際的に孤立
共和国の人工衛星打ち上げを「弾道ミサイル」とヒステリックに騒ぎ「対北規制措置」をとった日本政府の行動はまさに「無分別な軽挙妄動」というのがぴったりだ。
その結果が、「日本だけが蚊帳の外」と小渕首相自らがぼやくように国際的孤立を招いている。
振り上げたこぶし
日本政府は「振り上げたこぶしを下ろさざるを得なくなったようだ」と朝日新聞2日付は指摘した。これは「対北規制措置」の一つとして朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)への協力凍結方針をとったものの、(米国からの圧力で)「そう長く続けられるものではない」と高村外相が国会で答弁したことを指す。この問題に関しては東京新聞9月27日付も「日本外交の軽挙のツケが回ってきた感じ」と指摘していた。
日本政府は当初、米軍の不確かな情報に振り回され、詳細な情報、情勢分析もしないまま、@日朝国交正常化交渉の凍結 A食糧支援の棚上げ B直行チャーター便の運航中断など前後の見境もなく「規制措置」を発表した。だがその後、米国や南朝鮮すらも「弾道ミサイルではなく人工衛星の発射」と確認したため辻褄が合わなくなり、日本政府だけが浮き上がっていた。
根深い反北敵視政策
「ミサイル騒動」とヒステリックに騒いだ目的は何なのか。
一言でいうと軍事大国化促進と海外再侵略の野望実現に悪用したことである。またその背景には朝鮮民族差別・蔑視と根深い反共和国敵視政策がある。
自衛隊の海外派兵、朝鮮再侵略を合法化する米日防衛協力指針(新ガイドライン)の促進、米国の核戦略に組み込まれる戦域ミサイル防衛(TMD)システムの導入、軍事大国化に必要な独自の偵察衛星の保有論議など、軍事大国化策動が噴出した。さらには共和国の「ミサイル基地攻撃」発言まで飛び出した。
こうした動きは共和国の自主権と東北アジアの平和を重大に脅かした。
そのため共和国外務省は9月15日、声明を発表し、日本当局のヒステリーによって朝・日関係は単純な冷却や悪化の度数を超え危険な戦争の瀬戸際に達していると指摘。 @日本が反共和国行為に固執する限り、絶対に国交を正常化しない A日本が過去の犯罪に対する謝罪と補償をこれ以上回避する場合、それらが招くすべての結果に対して日本側が全責任を負う B反共和国行為には包括的かつ強力な自衛的措置で断固対応し、日本にいる朝鮮民族の構成員へのいかなる敵対行為も日本当局の反共和国行為として見做される、などの対応措置を明らかにした。ここには朝鮮学校生徒への嫌がらせ事件の頻発などから在日同胞を保護するとの共和国政府の確固たる態度がある。
米国との温度差
小渕首相は9月22日、ニューヨークでクリントン大統領と会談し、4者会談メンバーに日本とロシアを加えた6者会談の必要性を訴え、24日には「日本だけが蚊帳の外」だからだと提案理由を説明した。
6者会談には共和国だけでなく、当の米国や中国も反対で実現の可能性はない。
それでも持ち出さざるを得ないのは人工衛星問題で米国との温度差が著しく「蚊帳の外」に置かれた日本政府の焦り、苛立ちがあるからだ。(喜)