実証//共和国の人工衛星(上)東86度の発射方向
ミサイルとは軌道が違う/日本の安全を考慮
共和国の初の人工衛星打ち上げは内外に様々な反響を呼んでいる。人工衛星問題を様々な角度から実証する。
高度も下方修正
咸鏡北道花台郡舞水端里。共和国北部の工業都市金策市の東北東60キロメートルに位置し、山と海に囲まれたこの地域は宇宙ロケット打ち上げには最適の場所とされる。8月31日12時7分、共和国初の人工衛星「光明星1号」はこの発射場から方位86度の方向で打ち上げられた。実はこの「86度」という角度に重要な意味が込められている。
一般に宇宙ロケットの打ち上げは地球の自転を利用し東向きにセットされる。そして、最も理想的なロケットの打ち上げ角度は方位90度、真東だ。しかしそれでは日本の上空を横切る恐れがある。
そこで共和国は日本を含む周辺諸国への安全性を考慮して、条件は不利だが方位86度に角度を修正した。この方角で打ち上げれば、朝鮮東海を横断して津軽海峡の上空を越え、太平洋の公海上に至るからだ。万一同コースをはずれた場合を考え、安全地帯に誘導し自爆する装置も付けた。さらに、分離された2段目が日本の領海近くに落下するのを防ぐために、高度も下方修正した。共和国の深思熟考ぶりがうかがえる。
こうして共和国の人工衛星運搬ロケットの1段目は北緯40度51分、東経132度40分の朝鮮東海公海上に、2段目は北緯40度13分、東経149度07分の太平洋公海上に落下。3段目は第1宇宙速度(秒速7.8キロb)を越えて衛星本体を秒速8.98キロメートルで軌道に侵入させた。
また、「打ち上げ時に得たデータから米国や防衛庁が予測した1段目、2段目の落下点は、射程からほぼ真東(真北を零度として約87度)で一致している」(朝日新聞9月22日付)。米国や日本も共和国のこの主張をほぼ認めている。
ロケットは水平維持
米国や南朝鮮が衛星と認めた後も、日本だけが「弾道ミサイル」説を執ように展開し、反共和国敵視政策を続けている。
だが、この分野に少しでも精通していれば、衛星運搬ロケットと弾道ミサイルの違いはすぐに分かるはずだ。というのも両方の軌道がまったく異なるからだ。
宇宙ロケットの場合は、3段目エンジンに点火する時、地球の表面と水平を維持しながら、軌道に沿って周回する。だが、弾道ミサイルの場合は、最終段階で地球の水平面と40〜45の傾斜角をとり、弾道の航路に沿って大気圏に再突入する。
データ収集し4日後発表
衛星打ち上げと発表(9月4日)の間になぜ4日間の空白があったのか。最近号の労働新聞に掲載されたインタビューで、打ち上げに携わった科学者がこの疑問に答えている。
それによると、共和国は初めから打ち上げ公表を決めていたが、衛星打ち上げ成功を確認し、測定資料などを収集して総合的に判断した後で慎重に公表する原則を立てた。そこで、数日間は観測に専念。科学性と信頼性が確証された後での公表となった。そのため発表が遅れた。(姫)