朝・日弁護士らが朝鮮人学生に対する人権侵害調査委員会発足
共和国の人工衛星打ち上げを、日本当局が「弾道ミサイル」だと決めつけ、騒いでいることを背景に9月に入って在日同胞への人権侵害事件が相次いでいる。なかでも朝鮮学校生徒への暴行、暴言など嫌がらせ行為が深刻化する中、朝・日の法律家、学者、ジャーナリスト、人権活動家らによる「朝鮮人学生に対する人権侵害調査委員会」(日本人側代表=土屋公献・元日本弁護士連合会会長、朝鮮人側代表=趙纒怐E在日朝鮮人人権協会会長)が9月21日に発足し、活動を開始した。
同調査委員会は4年前、「核疑惑」騒動の中で朝鮮学校生徒に対する暴行が多発した際に調査活動を行ったメンバーらが中心になって結成されたもので、床井茂弁護士、ルポライターの西野瑠美子さん、三重短期大学の佐々木光明助教授をはじめ朝・日の20余人が名を連ねている。当面の活動として被害の実態調査に力を入れ、今後、調査に基づき報告書作成、記者会見や関係各方面への申し入れなどを行う予定だ。
調査委では9月28日に西東京朝鮮第1初中級学校、24日に愛知朝鮮中高級学校、25日には東京朝鮮中高級学校と東京朝鮮第6初級学校で、被害にあった生徒と学校関係者から話を聞いた。
東京中高には東京造形大学の前田朗助教授(在日朝鮮人人権セミナー事務局長)、洪正秀弁護士らが訪れ、11日、登校時に自宅から駅に向かう途中、初老の男に肩をつかまれ、「朝鮮人?」「(ジャージ姿を見て)今チョゴリ着れないんでしょ?」などとしつこく質問されたうえ、「今日きっと刺されるよ」と脅かされた高3の女子生徒に対する聞き取りを行った。
事件当日、泣きながら校門をくぐったという女子生徒は「もし何かあったらたたかうとよく冗談で言っていたのに、いざ自分の身にふりかかると怖くて、言われるがままになってしまい悔しかった。でも、こういうことをするのは一部の人。日本人でもいい人はたくさんいる。ただ、マスコミが朝鮮のことを悪くしか言わないことには腹が立つ。もっときちんと分かって欲しい。ジャージで通学していてもこんな目にあったのだから、早くチョゴリを着て学校に通いたい」と話していた。
金哲煥副校長によると、同校には1日から脅迫電話や無言電話が来るようになり、7日から女子生徒を体操着で通学させている。また登下校時、主要駅には教員や朝青員が見張りに立ち、下校時間を早め、中級部は集団登下校の指導をしている。また周辺の3警察署に生徒たちの身辺保護を要請する要請書を届けた。一方、日本市民からの激励の電話もあったという。金副校長は「とにかく1日も早く、子供たちが安心して通学できる状態になって欲しい」と語っていた。
また愛知中高には西野瑠美子さんが訪れ、14日、下校中の電車内で中年男性から「朝鮮人、こっちを見ろ」と言われ、ハサミをちらつかせながら「髪を切るぞ」と脅かされた高3女子生徒ら3人の聞き取り調査を行った。
東京第6初級には教職同中央の朱寧春宣伝部長が訪れた。同校では、初級部4年の女児が下校時、電車内でランドセルに刃物で4ヵ所にわたって傷をつけられる被害にあっている。
西東京第一には、女性同盟中央の趙英淑子女教育部長らが訪れた。同校では、初級部6年の男児が登校時、駅のホームで30歳位の男に「朝鮮人か!」と言われながら腹をなぐられるなど4件の事件が起きている。
調査委によると、朝鮮学校および生徒に対する嫌がらせ事件は9月に入り27日現在、把握できているだけで40件に及んでいる。被害者は初級部2年から大学1年までの広範囲に及び、女子生徒が多い。