視点
暮れも押し迫った昨年12月30日、南朝鮮で23人の死刑が執行された。金泳三政権下では3度目で、1995年11月の19人に続く多人数だ。これについては共同通信社が31日に配信したが、全国紙で掲載したのは毎日新聞だけ。筆者も「週刊金曜日」1月16日号で知った。
死刑囚は殺人、強盗殺人など凶悪犯が多数を占めており、ここで死刑制度の是非を論じるつもりはない。ただ、ソウルの市民団体「人権運動サランバン」による「全斗煥、盧泰愚氏ら数々の国政不正に連座した人物をクリスマス特赦で釈放したことを考えると、道理が合わない」との主張は至極当然だ。
全斗煥、盧泰愚は米国の黙認のもとに、80年の光州人民蜂起を武力で鎮圧した「光州5賊」の中心人物。当時、民主化をめざしてたたかった罪のない光州市民が2000人以上も虐殺された。いまだに事件の真相は明らかにされておらず、真相究明を求める声は市民の間で根強い。両人は96年に起訴され、1審で全は死刑、盧は懲役22年を求刑されたが、2審でそれぞれ減刑され、昨年12月22日に特別赦免で釈放された。
逆に民主化のためにたたかった多くの良心囚たちはまだ獄中にいる。
全、盧の赦免については、「本人たちの真しな反省と謝罪がない赦免は許されない」(経済正義実践市民連合)などと非難の声が高く、良心囚たちこそ釈放すべきだとの意見が大半を占めている。(聖)