ショートトラック選手を訪ねて/平壌・本社記者
仕上がりは順調メダルにも期待
【平壌発=本社韓東賢、玄奉烈】 長野五輪本番を約1ヵ月後に控えた9日、平壌市内で練習中のショートトラックの代表選手たちを訪ねた。スピードスケートの代表選手たちは咸鏡南道・赴戦で合宿中という。
昨年5月から集中練習
女子はハン・リョニ(19)、チョン・オクミョン(19)、ファン・オクシル(25)の3選手がそれぞれ500、1000メートルに出場し、ホ・ジョンヘ選手(23)を加えて4人で3000メートルリレーにも出場する予定だ。また男子はハン・サングク(20)、ユン・チョル(23)の両選手が500、1000メートルに出場、ほかに補欠選手として女子のムン・スネ(16)選手と男子のキム・イルシン(24)選手が長野入りする予定だ。
8選手は昨年11月、オランダ・ハーグで開かれた五輪予選会で好成績をあげ、長野冬季五輪の出場権を獲得した。
シム・ダンス責任指導員(50)によると、メダルが期待される有望選手はハン・リョニ、チョン・オクョン、ファン・オクシルの3選手。彼女たちが出場する予定の500、1000メートルで銅メダル以上が射程圏内だと力強く語る。
「現在の仕上がり具合は大変いい。昨年11月の予選会以前よりも選手たちの熱意も技術も高まり、記録も世界レベルに達している。共和国の選手たちの特徴はスピードとパワー。これを生かせる短距離種目で期待が高い。必ず金メダルを取って祖国の名を轟かせたい」
五輪を目指した集中練習は5月から始まった。練習時間は毎日6時間。1日にリンクを滑る距離は、8000〜2500キロメートルにもなるという。
五輪での活躍が期待できそうだ。
女子選手が牽引力
共和国ショートトラック協会のチョウ・ソヌン書記長(53)によると、共和国でショートトラックの歴史が始まったのが86年。それから11年間、決して長い歴史ではないが、着実に発展を遂げ、92年のアルベールビル冬季五輪の女子500メートルで今回も出場するファン・オクシル選手が銅メダルを獲得したのをはじめ、90〜93年の冬季ユニバーシアード大会、アジア大会などで女子選手が好成績を収めた。
共和国が「苦難の行軍」を続けたここ数年は国際試合出場がかなわず、「若い選手たちの経験不足が少し心配」(ファン・オクシル選手)とされるが、今回の長野五輪を機に一層の発展が期待されよう。
書記長は「青少年体育学校、体育大学などでショートトラック選手を育成するシステムも整い、競技人口も増え、指導員の層も厚くなった。とくに現在、13〜14歳の若い層にいい選手が多い。今回の五輪はもちろん、次の世代にも大きく期待してほしい」と話す。
書記長によると、「ショートトラック競技を観戦する際のポイントは @スタート時の瞬間スピード Aカーブを曲がる技術 B追い抜く際のスピードの変化 Cゴールまでパワーで滑り切る体力と精神力の4点。共和国の選手たちが、長野で見せるスピードとパワー、精神力を楽しみにしたい。
共和国スケート/世界大会の軌跡
スピードスケートでアジア初の銀
共和国が冬季五輪大会に初めて参加したのは1964年、オーストリアのインスブルックで開かれた第9回大会。スピードスケート女子3000メートルに出場したハン・ピルファ選手が2位に入賞し、アジアで初の銀メダルを獲得。1500メートルでもキム・ソンスン選手が4位に入り、それまで「東洋人の体質では、スピード競技ではとてもヨーロッパの選手に及ばない」という既成概念を打ち破った。当時、世界のスケート界は「彗星のように現れた朝鮮選手」の活躍に絶賛を送った。キム選手は66年2月、ノルウェーで行われた世界女子スピードスケート選手権大会でも1500メートルで優勝し、初めて金メダルを獲得。500メートル、1000メートル、3000メートルでもそれぞれ4位、2位、5位に入賞し、総合2位に輝いた。
91年の札幌ユニバーシアード冬季大会では、スピードスケート女子1000メートルでソン・ファソン選手が優勝したほか、ショートトラックでも金3つ、銀1つ、銅2つのメダルを獲得した。
また、92年2月に開かれた冬季五輪第16回大会(フランス・アルべールビル)では、ファン・オクシル選手がショートトラック女子500メートルで銅メダルを獲得した。