本社記者現地ルポ/在日朝鮮学生少年芸術団の迎春公演
祖国で感動呼んだ103人/70万同胞の代表として全力
平壌市学生少年たちの迎春公演に、在日同胞の子供たちが参加するようになって今回で12回目。10月中旬から行われたオーディションで各地の朝鮮初中級学校から選ばれた舞踊、歌、説話担当の101人の子供たちと、朝鮮大学校から歌で選ばれた2人の女子学生は、「技術では祖国の子供たちに劣るかもしれないが、70万在日同胞の代表としての気持ちは負けないつもりで」(金尚建・在日朝鮮学生少年芸術団少年団委員長、東京第1初中・中級部2学年)自らの持てる以上の力を出し切り、祖国の人々に深い感動を与えた。(平壌発=本社韓東賢)
全員が家族のように
毎年重ならないように選考しているので、ほとんどの子供たちが初参加。1つの学校から選ばれるのは1〜2人のため、最初は知らない同士ばかりだったが、ともに生活するうちにすぐに仲良しに。そればかりか芸術団内で少年団委員会を結成して10の分組に分かれ、ウリマルをきちんと使う、時間を守る、練習で成果を上げる、などの課題を掲げて競争する運動も展開。日常の集団生活も立派に行っている。毎日日記も書き、日本にいる父母や先生、トンムたちに年賀状も書いた。
最年少は初級部5年生。洗濯など、まだまだ日常生活で慣れないことも多く、大きい子たちがよく面倒を見ている。全員が家族、兄弟のようだ。
「初・中級部の頃、出演したくてもその願いが適わなかった迎春公演に出演することになって、本当に嬉しかった」という朝鮮大学校師範教育学部音楽科2年の全明華さんは、「小さい子たちに、49年の初公演以来、逝去するまで、毎年金日成主席が観覧してきた迎春公演の意味、重要性を機会あるごとに話してあげ、生活上の礼儀や常識からひとつひとつ教えてあげた。その過程で、小さい子供たちがだんだん成長するのがよく分かった」と話す。
一方、常に医師2人と託児員3人が付き添っている。託児員は毎日、子供たちに塩水でうがいをさせ、本公演が迫り、万景台学生少年宮殿にリハーサルに出かける際にはおやつやジュースを携え同行した。ホテルの従業員もオモニの気持ちで、寒くないようにとわざわざ練習場にじゅうたんを敷き詰めるなど、自分の子供のように心を砕いていた。
互いに励ましあって
指導教員ら6人を含む一行が平壌に到着したのは昨年12月5日。6〜7日の2日間は日本と現地の指導教員らによる脚本の練り直しが行われたため、練習開始は8日から。例年は11月内に平壌入りし、12月からは練習に入るというから、1週間ばかり遅いスタートだ。練習は毎日午前9時〜午前12時と、午後2時〜午後5時。
万景台学生少年宮殿専属の指導員がこの間、日本からの教員たちと協力しながら指導に当たった。振り付けのチョン・ソンスク先生によると、今回は例年になく練習期間が短かったうえに、40年前を再現する内容とあって、豊かに暮らす今の子供たちが、当時、お金がなくて学校を建設できなかった苦労や悲しみ、その時に祖国から初の教育援助費と奨学金が送られてきた喜びの感情をうまく表現できるかが大きな課題となったという。しかし、最初はうまく表現できなかった子供たちも、練習を重ねるうちに、立派に感情表現ができるようになった。
祖国の説話と歌の指導員も、当初は発音などの課題点はあったものの、みなが短い期間に驚くほど上達したと口を揃えた。
こうして迎えた本公演。子供たちは控え室で円陣を組み、「私たちの力で公演を成功させよう!」とシュプレヒコールを上げた後、舞台袖に向かった。緊張感と興奮に耐えかねて1人の女の子が泣き始めると、女の子たちが次々と泣き出したが、「泣いたら駄目だよ」と互いに励まし合った。
迎春公演13番目の演目、在日朝鮮学生少年芸術団の「永遠の愛の生命水」が始まった。舞台に飛び出していく子供たちのほとんどが泣いていた。舞台での歌声や説話はみな涙声だった。そこには緊張感と興奮、祖国の大舞台に立てたという喜びが溢れていた。
他のどの演目より長い6分15秒の舞台を終え、控え室に戻っても、子供たちの涙は止まらなかった。
緊張と興奮、喜びの涙
祖国への思い伝える
生野初級の金勇志君(説話で出演、最年少の初級部5年のうちの1人)「金正日総書記を慕い、祖国を思う僕たちの気持ちを、祖国の人々に伝えたかった。公演はうまくいったと思う。感動して泣いてしまった」
拍手が大きな励みに
北九州初中・初級部6年の皇甫正美さん(舞踊で出演)「みんなの拍手が大きな励みになった。とても感激した。前回、オーディションに一度落ち、今度こそと思って一生懸命練習してきたので、今回、参加できて本当に良かった」
一生の思い出に
西神戸初中・中級部2年の李大翔君(合唱で出演、公演当日の31日が誕生日)「公演は大成功だったと思う。みんなが団結して頑張ったからだ。緊張したけど、舞台で大きな拍手を浴びて気持ち良かった。14歳の誕生日が一生の思い出になる」
出演は名誉あること
朝大外国語学部2年の呂成姫さん(二重唱で出演)「練習は厳しかったが、出演できるだけでも名誉だと思い、頑張った。金日成主席と金正日総書記の愛情があってこそ、日本で私たちが朝鮮人として立派に育っている姿と、総書記を慕う私たちの気持ちを伝えようと全力を尽くした」