視点/余生を肉親と暮らせるよう


 朝鮮戦争が終わり44年たった。しかし3人の元朝鮮人民軍捕虜はいまだに家族の待つ故郷の共和国に帰れず南朝鮮で病気に苦しみながら生活をしている。金仁瑞(70)、金永泰(66)、咸世煥(66)の3人だ。

 彼らは非転向長期囚として30余年間も獄苦を強いられたが、釈放後も南朝鮮当局の不当な措置により故郷に帰れずにいる。金仁瑞氏には平壌に長女と次女が、金永泰氏には清津に長男が、咸世煥氏には甕津に姉と甥がそれぞれ健在だ。

 金仁瑞氏は昨年7月29日、脳出血で倒れ左半身麻痺になった。光州市で金永泰氏が看護している。金仁瑞氏は昨年8月23日、娘に送った手紙で、「そばに少しでも世話をしてくれる人がいればいいのだが。肉親の情と救いの手が今ほど切実な時はない…」と切実に書いた。

 このため共和国は昨年9月2日、南朝鮮当局に可能な緊急措置として医療チームと娘2人を南に派遣すると提案したが、南朝鮮当局は無慈悲にもこの提案を拒否した。

 それだけでなく昨年9月20日、「過去の犯罪に対する反省がなく、今も北韓の共産主義体制の優越性を信じており、在北家族のため思想転向しない」などの理由で金氏に「再犯の憂慮」があるとして「保安観察処分」の期間更新を申請した。彼らは戦争捕虜として国際条約上からも、人道主義の見地からも停戦直後に当然、送還されるべきだった。

 最近、金仁瑞氏が危篤状態に陥り、金永泰氏まで倒れる寸前という知らせを受け共和国赤十字会は26日、南朝鮮赤十字社に3人を共和国に送還するよう求め、彼らが余生を肉親と暮らせるよう南朝鮮側がこの求めに応じるべきだ。(喜)