南朝鮮で銀行の不良債権倍増


株価下落、貿易赤字、失業率上昇/複合不況が深刻化

 南朝鮮経済が悪化の一途をたどっている。今年に入り、起亜グループの倒産をはじめ、財閥経営の破たんが表面化。深刻な複合不況を引き起こし、景気は一気に冷え込んだ。財閥中心の経済構造、ひいては金泳三「政権」の一貫性のない経済政策に根本的な原因があるのは明らかだが、現状を脱する道は依然、見つかっていない。(根)

揺らぐ3大金融市場

 最も深刻な経営難に陥ったのは金融機関だ。

 韓宝と起亜のメインバンクである第一銀行は、両グループの倒産の直撃を受け、昨年末比で約4倍、1兆4200億ウォン(約1850億円)もの不良債権を抱えた。都市・地方銀行の不良債権総額も5兆ウォン(約6500億円)と、この半年でほぼ倍増した。特別融資などの補てん策は取られているものの、不良債権回収のめどは立っていない。相次ぐ企業の倒産でピンチに追い込まれた形となった。

 金融市場や貿易への影響も大きい。やはり相次ぐ倒産が金融不安をあおり、ウォン安、株価下落、金利上昇と、3大金融市場を揺るがしている。

 総合株価指数は今月3日に688.63と700台割れを起こし、昨年初めには1ドル=790ウォン台だったウォンの対米ドルレートも、先月26日に1ドル=900ウォン台に突入、ウォン安ドル高傾向に歯止めが利かない状態だ。1〜8月の貿易赤字は102億4300万ドル(約1兆2600万円)にも達した。

「史上最悪の就職難」

 銀行からの融資には期待できないと、各企業は本格的な人員削減、新規雇用自粛に乗り出した。南朝鮮の就業問題専門機関の調べによると、今月22日現在で30大企業のうち20企業が、今年下半期の新規雇用を減らしたり、取り止める予定だという。

 今年1〜3月期の失業率は、金泳三が「大統領」に就任した1993年以来最悪の3.1%を記録、失業者数も674万人に達した。半面、再就職率は再就職志望者総数の10%にまで落ち込んでおり、事実上、再就職は不可能な状態だ。

 また、今年7月現在の求人倍率は0.95倍。2ヵ月前の2.61倍から急落し、ついに求人が求職を下回った。20代の大卒者の失業率も6.3%に上っており、「史上最悪の就職難」(東亜日報9月8日付)は加速する一方だ。

当局に打開策なし

 しかし、こうした危機にも、任期5ヵ月と迫った金泳三「政権」下の経済閣僚らに、現状打開の意欲は感じられない。次期「大統領」候補らも、不況の原因を金泳三「政権」の経済政策の失敗、経済の構造的な欠陥として捉えず、経済回復を言葉でのみ繰り返すばかりで、具体案も示せない有様だ。

 司法当局が倒産企業の労働者への退職金支払いを保留する判決を下したことに対し、労働組合が相次いで抗議の旗印を揚げるなど、労働者の雇用不安は日に日に高まっており、労働闘争が本格化することも予想される。