視点/「民際運動」と政府の落差
「待ってました」「当然のこと」
94年から3年連続の自然災害に苦しむ共和国が今夏も旱ばつに襲われたとの報道に接し、共和国の民衆に緊急に食糧を支援しようとの趣旨で、「北朝鮮の民衆に食糧を送る民際運動」が発足したのは8月25日。
影書房などが発行する小冊子「告知板」304号によると、そのことが朝日新聞で報じられた直後から、事務局の電話が鳴り止まず、事務局員は100通もの連絡の応対に終始大わらわだったそうだ。悪罵・恫喝(どうかつ)はわずかで、冒頭のような激励の声がほとんどだったという。
この民際運動には、元参議院議員で「石川県民の会」代表の翫正敏氏、法政大学名誉教授の尾形憲氏、ルポライターの鎌田慧氏、記録映画作家の土本典昭氏、思想家の鶴見俊輔氏ら著名な各界人士100人が名を連ねている。関係者らは、共和国の食糧不足に対する人道的援助が必要であるとの立場から、「日本人拉致問題」や在朝日本人女性の故郷訪問問題などを理由に慎重な姿勢を示した日本政府の対応を批判し、「一切の政治的思惑や前提条件ぬきに」国内にある余剰米を共和国に送るよう求めている。
また、沖縄出身のミュージシャン、喜納昌吉さんが24日に横浜で共和国支援チャリティーコンサートを開くなど、民間の支援の動きは日ごとに広がりを見せている。
最近、日本政府は国連の食糧支援要請にやっと応じる構えを見せているが、民主党幹事長の鳩山由紀夫氏らは遅すぎたとの見解を表明した。
最近の世論調査でも、共和国に食糧支援すべきとの意見が過半数を越えたというが、日本政府と世論の間には相当な格差があるようだ。(聖)