東京・大田同胞芸術の夕べ「愛国の代をつぎ」


 総聯中央委員会第17期第4回会議決定を受け、在日同胞社会で民族性を守るための運動を力強く推し進めていく機運が高まりを見せているなか、「大田同胞芸術の夕べ|愛国の代をつぎ」が21日、東京・大田区民プラザ大ホールで上演され、都内から470余人の同胞が詰めかけた。総聯大田支部をはじめ地域の各団体・機関メンバーで組まれた実行委員会(李哲委員長・大田地域青商会会長)が主催。若い世代が、1世たちが築いた数々の業績を受け継ぎ、支部を中心とした地域の在日朝鮮人運動で新たな時代を切り拓いていく契機にしようというもので、2世を中心に各世代、各層の同胞230人が出演した。東京朝鮮第六初級学校と東京朝鮮第7中級学校の生徒、児童らも参加し、地域ぐるみの公演となった。

創作劇「大田同胞が一番」、地域の歴史を大合唱

 大田地域では、馬込分会が、62年に全国に先駆け「2重模範分会」の称号を獲得したほか、地域同胞の大衆運動によって、80年に市区町村単位で初めて大田区から民族教育への助成金を獲得するなど、祖国と組織、同胞の生活を守る運動で先頭に立ってきた。

 出演者らは上演が決まった5月から週に数回、昼夜を分かたず多忙な時間の合間を縫って支部会館に集い、歌や踊りの練習を重ねてきた。

 公演は、総聯、女性同盟、朝青など各団体・機関メンバーで作られた大田同胞合唱団による合唱「我らの誇り限りなし」で幕を上げた。各世代が一丸となって織り成す舞台は、数々の業績を築いてきた1世の歩みと、後に続く世代がそれらを守り、発展させていく姿を民族の情緒あふれる歌や踊りで表現して、観客から惜しみない拍手を浴びた。

 とくに、総聯大田組織が歩んできた歴史を振り返ったビデオと解説「祖国、民族とともに」では、祖国解放後に1世によって建てられた国語講習所や、総聯結成後に支部事務所で会議を開く1世同胞らの姿など、歴史的な場面ががスクリーンに写し出され、観客の涙を誘った。

 ほかにも、朝鮮学校で学ぶ喜びを表現した生徒と園児らによる歌や踊り、民族色豊かな太鼓の舞いなど、多彩な演目を披露。女性重唱「春風にのって」や、チャンダンノリ「団欒」などでは、公演前からも週に一度の練習を地道に重ねてきた支部サークル活動の成果がいかんなく発揮された。

 地域の歴代名歌手が登場した民謡メドレーでは、客席の同胞らも舞台に上がりオッケチュムに興じるなど、会場の雰囲気は最高潮に達した。

 観客に最も大きな感銘を与えたのは、1世と東京第6初級の生徒、大田同胞合唱団による合唱「故郷の春」。各世代、各層の声が1つになって響く歌声は、組織の回りに堅く結ばれた地域同胞社会の姿を示したようだった。フィナーレでは、公演に際して作られた歌「大田同胞が一番」を出演者全員で合唱した。この歌には、数々の業績を築きあげてきた地域同胞の歴史と誇りが込められている。

 権敏子さん(54)は「公演を見て、地域の同胞が本当に大きな力を持っているということを感じた」と話し、林明希さん(25)は「1世が残してくれた財産を、若い世代がしっかりと守って行かなければならないと改めて思った」と話していた。