金正日書記の8月4日労作 統一遺訓実現へ(2)

集大成/主席の業績、3大憲章に体系化


確固たる土台

 金正日書記は8月4日に発表した労作「偉大な領袖金日成同志の祖国統一遺訓を徹底的に貫徹しよう」で、金日成主席の統一業績を集大成し、主席の示した祖国統一3大原則、祖国統一のための全民族大団結10大綱領、高麗民主連邦共和国創立方案を祖国統一3大憲章に体系化。今後の統一政策を主席の遺訓に従い推進できるようにした。

 書記は主席逝去100日目の94年10月16日、談話「偉大な主席を永遠に戴き、主席の偉業を最後まで完成させよう」で、統一は主席の遺訓だと強調。「統一問題をそう遠くない将来に解決できる確固たる土台を築いた」主席の統一業績を称えた。

 それから2年。書記は96年11月24日に分断の象徴である板門店を視察した際、主席の示した原則、綱領、方案を祖国統一3大憲章と初めて定めた。それは、喪が明ける今年、統一問題で行動を開始するという意思の表明だったと言える。今年元旦の労働新聞など3紙共同社説に、祖国統一3大憲章という言葉が初めて登場した。

 書記は6月19日、労作「革命と建設において主体性と民族性を固守するために」を発表し、民族性とそれに基づいた民族愛と民族自主精神、民族共同の利益に基づいた民族団結を基礎にして統一を実現すべきだと強調。また、在米僑胞ジャーナリスト文明子氏に送った7月13日付の書簡で、主席の示した3大憲章が統一へのたたかいで指導的指針となると指摘した。

 一方、7・4共同声明発表25周年の7月4日、主席の統一業績に関する外交部備忘録が発表された。備忘録は、共和国政府が今後の統一政策において、「主席が示した路線と方針を変わりなく守り、貫徹していくだろう」と宣言した。

 こうした過程を経て、今回の労作は発表された。

理論的な道筋

 8月4日労作は、祖国統一3大憲章が祖国統一の旗印、自主的平和統一実現のための最も正当で現実的な闘争綱領だと強調。その正当性を示した。

 これによると、自主、平和統一、民族大団結の祖国統一3大原則は、統一問題を民族の意志と利益に則して、民族自身の力で解決するための根本的立場と基本方途を示した統一の礎石であり、北と南が7・4共同声明を通じて確認、宣布した民族共同の統一大綱だ。また全民族大団結10大綱領は、全民族が団結し、統一の主体的力量を強化するための政治綱領である。高麗民主連邦共和国創立方案は、1民族、1国家、2制度、2政府に基づく統一国家の姿とその実現方途を示した設計図だ。

 このように、主席によって統一の原則と実現方途がもたらされ、それはすでに南北、海外の統一勢力のコンセンサスとなっている。91年12月には南北高位級会談を経て、3大原則を再確認した「南北間の和解と不可侵及び協力・交流に関する合意書」も採択されている。

 主席逝去後の金泳三の対北強硬策によって南北対話が中断され、南北関係が最悪の状況に陥った現状を見て、統一実現を悲観する向きもあるかもしれない。しかし、以上述べたように主席の業績により、統一実現のための理論的な道筋はできあがっている。残る現実的課題である平和保障問題解決と南北関係改善への環境も、本連載第1回で述べたように整いつつある。

 8月4日労作は、祖国統一3大憲章が「北と南に互いに異なる思想と制度が長い間存在してきたわが国の現実的条件と統一を渇望する全民族の志向に合わせて、1日も早く祖国統一を実現できる最も公明正大で合理的な方途を明らかにした」と指摘した。(東)

 

全民族大団結10大綱領

 金日成主席が93年4月6日に作成。自主的で平和的で中立的な汎民族統一国家の創設を最終的目標に、民族愛と民族自主精神を団結の理念的基礎に、共存、共栄、共利を団結の基本原則に規定。また政争を止め、北侵と南侵、勝共と赤化の危惧をなくして互いに信頼し団結する問題、多様な所有形態を認め保護する問題、民族大団結と祖国統一での功労者を評価し、過去に民族を裏切っても反省し愛国の道を歩めば寛容に処遇する問題など、民族大団結の具体的方途を示した。

 金正日書記は8月4日労作で、10大綱領は全民族が団結し、統一の主体的力量を強化するための政治綱領だと指摘したが、綱領は、民族愛と民族自主精神から出発し、民族の利益を最優先させ、すべてを統一に服従させる内容で一貫しており、和解と団結を求める全民族の志向を反映。相互尊重の譲歩の精神ですべての問題を民族的見地で解決し、全民族の幅広い団結を実現可能にする。