ここが知りたいQ&A
南朝鮮「大統領」選挙まで90日と迫ったが
「政治不在」、候補乱立で混戦/政策論争なく、疑惑追及に躍起
Q 南朝鮮の次期「大統領」選挙まで90日と迫ったが、各候補の顔ぶれは。
A 候補の乱立でかつてない混戦模様だ。現時点での立候補予定者は、与党「新韓国党」代表委員の李会昌(62、忠清南道出身)と、野党からは国民会議総裁の金大中(71、全羅南道出身)、自民連総裁の金鍾泌(71、忠清南道出身)、民主党総裁で前ソウル市長の趙淳(69、江原道出身)だ。労働組合や市民団体で作る組織「国民勝利21」もこのほど、全国民主労働組合総連盟(民主労総)委員長の権永吉(56、慶尚南道出身)の立候補を表明した。一方、与党公選で李会昌に惜敗した後、去就が注目されていた京畿道知事の李仁済(48、忠清南道出身)も、13日に記者会見し、出馬を公式に宣言。同時に「新韓国党」を脱党した。近く新党を結成する見通しだ。
Q 当初、圧倒的有利が伝えられた李会昌の支持率が急落したが、原因は何か。
A 長男と次男の兵役免除スキャンダルが直接の原因だ。「クリーンさ」が売りの李会昌の意図的な不正行為とあって、40%近かった支持率は激減し、金大中に逆転された。起死回生を狙った全斗煥・盧泰愚の「赦免」建議も金泳三に拒否され、党内の信頼もがたがた。「李会昌で勝ちに行く」シナリオが崩れ、「候補交代論」まで出ており、与党は分裂状態にある。
Q 野党候補の一本化も取りざたされているが。
A 金大中と金鍾泌は早くから、野党「政権」実現のため候補一本化に意欲を示していたが、政策の違いや支持地盤の問題などにより、どちらが統一候補になるか決まっていない。支持地盤の問題で言えば、金大中はソウル市長選挙で趙淳を強力に支援しただけに、趙淳の出馬はかなりの痛手で、また金鍾泌も地元の忠清道票が同じ地元の李会昌らと食い合いになり、集票力の大幅な低下が予想される。与党の分裂が野党に追い風となってはいるが、現時点では一本化は難しいだろう。
Q 政策論争よりも互いのスキャンダル追及が目に付くが。
A 各候補とも、政治や経済の立て直しなど、独自の政策をもって他候補との差別化を図るのではなく、李会昌の兵役免除疑惑の追及に示されたように、重箱の隅をつつくような疑惑追及で他候補の蹴落としに躍起になっている。低レベルのひぼう中傷を繰り返す姿勢は、南朝鮮における「政治の不在」を物語っており、マスコミも「討論らしき討論がない」(東亜日報7月31日付社説)などと批判的だ。
Q 各候補の統一、対北政策についてはどうか。
A 彼らの発言からは明確なビジョンは見当たらない。金泳三の反民族・反統一政策により、南北間には和解ではなく対決が激化し、平和ではなく戦争の危機が起こり、かつてないほど最悪の状態に陥った。南北関係を改善し、統一の転換的局面を切り開くためには、南が反北対決政策を連北和解政策へと転換させ、民族自主の立場で同族と力を合わせて外勢に反対する道を歩まなければならない。次期「大統領」は、こうしたことを踏まえた政策を明確に打ち出す必要があろう。