日本人配偶者故郷訪問で合意/朝・日赤十字連絡協議会
朝・日赤十字連絡協議会第1回会議が6〜9日まで北京で開かれ、日本人配偶者の故郷訪問問題を協議し、合意書と付属書がまとめられ、第1陣として10〜15人が可能な限り1カ月以内に1週間程度故郷訪問することになった。今回の合意は人道的問題を前向きに解決しようとする共和国の雅量ある措置により実現した。朝・日関係は現在、非正常な状態にあるが、このような人道事業の実現は朝・日間の理解をさらに深め親善にも寄与することになろう。
第1陣は10〜15人/1ヵ月以内に
合意書は @共和国赤十字会側は人道的見地から、日本人配偶者の故郷訪問を実現することを改めて表明した。日本赤十字社側は、日本人配偶者の故郷訪問に必要な便宜を供与することを表明した A日本側は、今後の故郷訪問を円滑に進めるため、故郷訪問希望者数を早急に把握したいとの希望を表明した。共和国側はすべての故郷訪問希望者に対する必要な調査を行い、資料が確定され次第日本側に連絡すると表明した B共和国赤十字会側は、日本人配偶者が本人の希望と意思に従って故郷を訪問できるよう必要なすべての措置をとることを表明した。日本赤十字社側は、訪問者の身辺の安全が確保されるよう、また訪問者が故郷訪問を円滑に終了し、共和国に帰還するようあらゆる努力をするとの日本政府の立場を伝えた C双方は日本人配偶者の故郷訪問をもっぱら人道的見地のみに立って行うことを確認した D双方は朝・日両赤十字による連絡協議会を今後とも開催していくとした、などとなっている。
また付属書では、 @訪問団の名称は「朝鮮民主主義人民共和国に在住している日本人配偶者の故郷訪問団」とする A各回の訪問団の規模は、希望者が確定するに伴い、10〜15人程度とすることを想定し、双方の協議により各回ごとに決定する B訪問団の日本滞在期間は、1週間程度を基準とする。第1回故郷訪問は、合意書が署名された日から可能な限り1カ月以内に実現する。第2回以降の訪問時期は、双方の協議により決定する C故郷訪問中、日本人配偶者は希望に応じ、出身地訪問、親族・知人訪問、墓参を行う D訪問団構成員が共和国領内で旅行及び諸手続きに必要とする費用(宿泊、交通、通信、医療など)は、共和国側が負担する方向で努力する。訪問団構成員が日本への旅行(往復)及び日本滞在で必要とする費用(宿泊、交通、通信、医療など)は、日本側が負担する方向で努力する E交通手段は、平壌−北京−東京の航空便、平壌−東京間のチャーター便または元山−新潟間の船便とし、各訪問団ごとに双方が事前協議をして決定する、となっている。
<解説>
共和国の雅量ある措置
合意は日本が朝鮮を侵略した過去の清算が出来ないまま非正常な関係にある朝・日両国の理解を深め親善に寄与することになろう。
金正日書記は金日成主席の喪明け後の7月13日、在米僑胞記者への書簡で、日本との善隣友好関係を結ぶことに関する共和国の立場は一貫しているとし、問題は共和国に対する日本の態度如何にあると指摘していた。
3日後の7月16日、朝鮮アジア太平洋平和委員会スポークスマンは談話を発表し、在朝日本人女性の故郷訪問に必要な対策を講じるとし、実務的問題を討議するため、共和国の当該機関が日本側と必要な接触を持つことを予見していると明らかにした。これが直接の契機になって一連の朝・日会談が始まった。
8月21日と22日に北京で朝・日国交正常化交渉再開に向けた予備会談が開かれ、本会談再開問題と懸案問題を討議した。そして @第9回本会談をできるだけ早期に行う A共和国在住の日本人配偶者の故郷訪問を予備会談から1カ月後を目標に第1回目を行う B朝・日双方赤十字団体と必要に応じて当局が参加する連絡協議会を設置し、日本人配偶者の故郷訪問実現と共和国内の日本人の安否調査などについて協力する、などで合意した。
この合意に基づき、6日から北京で朝・日赤十字連絡協議会第1回会議が開かれ9日、合意に至ったが、一連の動きから見ても、今回の合意は共和国の主導的で雅量ある措置によって実現したと言える。
日本人配偶者の問題は人道的問題だが、一部マスコミや人々は「政治問題化」させ反共和国宣伝に利用しようとし問題解決と順調な進展にブレーキをかけ、ひいては朝・日関係の進展を妨害しようとしている。日本人配偶者の故郷訪問はどこまでも人道的問題として扱われねばならない。
金正日書記は8月4日に発表した労作で、南北関係改善と統一について述べながら、米日も統一に肯定的役割を果たすべきだとし、とくに日本は過去を心から反省して共和国に対する敵視政策を捨て、朝鮮の分裂を煽り、統一を妨害することをすべきでないとし、そうすれば隣邦の日本に対し友好的に接し非正常な朝・日関係も改善されるだろうと強調していた。
日本人配偶者の故郷訪問が引き続き順調に行われるためには、朝・日関係が正常化されることが何よりも大事だ。そのためには朝・日国交正常化のための本会談が早期再開される必要がある。(載)