ひと夏のチャレンジ/朝青東京・中央江東 アウトドアクラブ
東京⇒札幌930km、自転車で走破
人情に触れた学びの旅/総聯組織の大切さ実感
自分の力を確かめ、自信を手にしよう――。昨年8月、5泊6日で東京―大阪間、567キロメートルを自転車で走破した朝青東京・中央江東支部のアウトドアクラブが、今年は東京―札幌(8月19〜26日)、930キロメートルの旅に挑戦した。一行はハードな行程をこなしながら、楽しみ、助け合い、人情に触れつつ、それぞれが一回り大きく成長する機会を得たようだ。
◇◇
一行は東京中高の中級部1年生を最年少、同支部の李創建委員長(28)を最年長とする9人(2人は仕事の都合上仙台まで)。8月26日の札幌入りを目指し、19日の早朝に支部を出発。昨年に続いて参加した朝鮮大学校生の尹聖哲さんを先頭に、最年少の金皙徹さん、日本の中学校に通う金周孝さん、朝高生2人(許英世、劉政成さん)、日本の大学に通う金振鎬さん、朝青活動家2人(黄英明、キム・イルヒョンさん)、そして李委員長と続く一列縦隊で、国道4号線を北へ北へとひた走った。
今回の難所は、栃木、福島の両県境にある黒川の峠(標高416メートル)と福島県の伊達町(同400メートル)、そして4号線最高点である十三本木峠(同458メートル)などで、東京―大阪間の箱根(標高874メートル)ほどではない。しかし、一部の難所を抜ければほとんど平坦だった前回に比べ、常にアップダウンが繰り返される今回は、より過酷なコースと言えた。
それを、夜はテントを張って野宿しながら、日中に平均時速25〜26キロ(昨年は時速19〜21キロ)で走る。一行はこのキツイ行程を、パンク(7回)などのハプニング、差すような陽射しや峠の凍えるような冷たい雨(十三本木峠ではとくにひどかった)に耐えて進んだ。
途中、色々な人から助けられたが、そのうえで威力を発揮したのが、朝青支部の金美怜さんが作ってくれたゼッケンだ。「東京⇒札幌間 朝青中央江東Out Doorクラブ 自転車の旅900q」などと書かれている。
立ち寄った食堂(初日・埼玉)やコンビニ(2日目・栃木)、果物屋(3日目・福島)の人々がそれを目にし、「本当に行くの?」「頑張って」と、差し入れをくれた。4日目に宮城・一ノ関で入ったサウナのおじさんは、敷地内にテントを張るよう勧めてくれたという。メンバーらはそうした人情に感動しつつ、「必ずやりとげよう!」と自らを奮い立たせもした。
そして何より、各地の同胞に助けられ、触れ合ったことが思い出に残った。
仙台で、夜になっても寝る場所を決められず、総聯宮城県本部に転がり込み、温かく迎えられた(3日目)。また岩手県本部(5日目)や、夜中に校長先生をはじめ先生たちに迎えられた感動のゴール、北海道初中高(8日目)では、焼肉と屋根つき布団つきの宿という「このうえなくぜい沢な」歓待を受けた。
こうした経験は、メンバーの心に深く染み込んだ。
北海道初中高で1泊した翌日、最年少の金皙徹さんは、先生に請われて中1と中2のクラスで旅の経験談を披露。この旅で最も学んだ点は「日本各地にある総聯組織の大切さ」だと、堂々と言ってのけた。
李委員長は旅の感想を「機会さえ得られれば、大事なことを学びとる力が若い世代にはある。皆のそうした力を信じること、大胆さを備えることが、朝青活動にとって大事だと実感した」と語っていた。