視点/対人地雷とダイアナさん
衝撃的な事故死を遂げた英国のダイアナ元皇太子妃は生前、対人地雷の全面禁止を訴え続けた。
今年1月、防弾チョッキと防弾マスクを身につけ、アンゴラ中部の地雷原を見て回った姿は何度も放映された。8月にもボスニアを訪れ、その恐ろしさを訴えた。
対人地雷は、命を奪うまでには至らないが、確実に片足を吹き飛ばす。荷重200キロ以上の車両が通過した際に爆発するよう調整されている戦車用地雷とは異なり、足にかかる体重で爆発するようセットされているので、誤って踏めば下半身不随になってしまう残酷な兵器だ。長い間、内戦が繰り広げられたカンボジアやボスニアなどに多く、子供をはじめ多くの民間人犠牲者を出した。
今月1日からノルウェーの首都オスロで、対人地雷全面禁止条約の年内調印を目指し、賛同国が推進する「オタワ・プロセス」の条約策定会議が行われている。
会議は初日から紛糾した。原因は、米国が対人地雷の全面使用禁止で朝鮮半島の例外扱いを求める修正提案を行ったためだ。これには南朝鮮、日本も同調している。
だが、ベルギー、メキシコ、オーストリア、カナダなどは全面禁止を強く主張、米提案に対する反対意見が多数出されることを考慮し、この問題は棚上げされた。
朝鮮半島に恒久的な平和をもたらすための問題を話し合う共和国と米国、南朝鮮、中国による四者会談が日程に上っており、朝・日国交正常化交渉再開も決まった。このような時期に、米国が朝鮮半島での対人地雷使用に固執し、南朝鮮と日本が同調するのは、平和と統一に何の関心もないことを示すもので、緊張状態を維持する行為に他ならない。(聖)