視点/二つの「大震災」
1923年9月1日に関東大震災が起きてから今年で74年が過ぎた。
この日正午2分前、関東一円を襲ったマグニチュード7.9の大地震と火災への恐怖感から人々は大パニックに陥った。こうした中、日本軍警が流したデマが発端となって、民衆による「朝鮮人狩り」が行われた。
「朝鮮人が放火した」「井戸に毒をなげた」などの流言飛語を口実に、日本当局は戒厳令を発布。朝鮮人らに対する無差別虐殺が行われ、6415人の在日朝鮮人が殺され、9000人が行方不明となった。
今年初めには、当時の陸軍省関東戒厳司令部が極秘にまとめた軍隊による兵器使用事件の調査表が東京都公文書館で発見され、軍の直接関与が立証された。
関東大震災から72年後の95年1月17日午前5時46分、阪神・淡路大震災が起きた。倒壊や火災による混乱の中で、同胞らの脳裏をかすめたのは、72年前の朝鮮人虐殺だったろう。
しかし、当時とは違い、むしろ、朝・日の人々が助け合う姿が随所で見られた。朝鮮学校に避難し、そこで温かい待遇を受けたある日本人は、友好促進のための様々な活動に率先して参加するようになった。震災前までは、近所に住みながらもつきあいを避けていた人だ。大阪からわざわざ寿司を握りに来てくれた日本人職人もいた。
関東大震災時、朝鮮人は日本帝国主義に国を奪われた亡国の民であった。だが今は祖国、共和国があり、総聯がある。在日同胞は主権国家の在外公民だ。
関東大震災の悪夢は2度と繰り返されてはならない。そのためには、朝・日友好を引き続き発展させることが大切だ。(姫)