記者が見た共和国 朝鮮式社会主義の行方(上)/喪明け
共和国では、7月8日の金日成主席の逝去3周年中央追悼大会で喪明けが宣布された。そして8月4日、金正日書記は労作「偉大な領袖金日成同志の祖国統一遺訓を徹底的に貫徹しよう」を発表した。一方、今年元旦付の労働新聞、朝鮮人民軍、青年前衛の3紙に掲載された共同社説では、「苦難の行軍」を勝利の内に収束させることが明記され、3年続きの自然災害による食糧問題を解決することが強調された。6月末から8月初に訪れた共和国の現状をレポートする。(基)
お笑い番組も復活
7月8日、主席逝去3周年中央追悼大会で追悼の辞を述べた金永南副総理は、「3年喪を挙行し脱喪する」と述べ喪明けを宣布しながら、「金正日同志を首班とする党中央委員会の周りに集まり、金日成同志が歩んできた道に沿って前進する朝鮮人民の革命偉業は必勝不敗だ」と強調した。大会開会前は若干の小雨がぱらつく曇り空だったが、閉会後は晴天に変わり、天候も喪明けを知らせたかのようだった。
テレビも同日以後、3年間自粛していた娯楽番組が再開され、お笑い番組も放映されるようになった。またテレビでは連日、朝鮮人民軍協奏団による歌「われわれは誓う」が流されていたが、この歌は主席の遺訓を貫徹し、社会主義建設を推進して祖国統一を実現するという人民の強い意志を反映したものだ。
「主席の思想、指導をそのまま受け継いだ書記が党と国家、軍を指導しているので、主席の遺訓は書記によって必ず実現される。書記の最高位への職務推戴を心から待ち望んでいる」(李英姫、平壌市内の販売員、25)というのが、共和国人民の深甚なる気持ちであると感じた。
党、軍、人民の渾然一体
労働新聞7月8日付社説では、書記を中心にした渾然一体は「党と軍、人民」であると指摘した。これまで共和国では領袖、党、大衆の渾然一体を強調してきたが、最近は軍の役割重視を強調している。実際、主席逝去後、今年の7月2日まで、書記が軍を指導した回数は公式報道だけでも80余回を数える。
では、なぜ軍を強化する必要があるのか。それはまず、社会主義抹殺を狙う西側陣営の圧力が一層露骨になり、米国が南朝鮮に軍を駐屯させている中で、自衛のための国防力強化が不可欠だからだ。
7月1日、軍事境界線に隣接する黄海南道白川郡を訪れた際、南側から拡声器を通じた反共和国宣伝が鳴り響いていた。そんな中で李相春・同郡党責任書記(55)は、「現情勢は銃声のない戦争状態に等しい。ソ連・東欧社会主義諸国が崩壊する前までは石油や肥料などを友好価格で手に入れることができたし、バーター貿易などで国が賄えない原材料などを輸入することができた。だが今はそうはいかない。米国による経済封鎖が続く中、われわれは地方産業で得た利益で原材料を輸入している。われわれが安心して社会主義建設を推進できるのも、朝鮮人民軍が国を守ってくれているからだ」と語る。
もう1つの理由は、社会主義経済建設で重要な役割を軍が果たしていることにある。事実、安辺青年発電所や観光開発が進む九月山では、建設に必要な莫大な量のコンクリートを軍人が自力で調達し建設を進めていた。社会主義建設を推進して国の富強発展をもたらすためにも人民軍が大きな役割を果たしている。また食糧問題を解決するために軍人が農村に動員され、人民を助けるという共和国ならではの美談も聞かれた。各地を取材にまわる中で、軍人が農民たちと一緒に草取りに精を出す風景がいたる所で見られた。こうした人民軍の活動は、軍が党と渾然一体を成してこそ、朝鮮式社会主義を守れるということを示すものだった。