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「琵琶湖トンネ」

 嫁いだ先が滋賀県だった。早や14年になる。日本一大きな湖、琵琶湖がある。2年前、家族で琵琶湖一周・自転車の旅をした。2泊3日かけて湖周200キロメートルを走りきった。

 そんな広い滋賀県に、たった一つウリハッキョがある。そこには、琵琶湖の周りから先生、生徒、幼稚園児たちが集まる。朝7時にバスに乗る園児のお弁当を作るオンマの起床時間は何時だろうか。その園児を通学バスで迎えにいく先生の起床時間はまた何時だろうか。

 そんな滋賀ハッキョも昨年に創立50周年を迎えた。ここにはハッキョを中心とする温かい同胞社会が代々継がれ築き上げられている。勝手に名づけよう。広すぎるのが玉に瑕な「琵琶湖トンネ」だ。

 幼稚班から9年間、毎日お世話になった息子が先日卒業した。4月からは京都朝鮮中高級学校に通う。私も滋賀ハッキョのオモニ会を卒業した。寂しい。でも「琵琶湖トンネ」に卒業はない。

 最近トンポトンネの大切さ、ウリ組織の大切さを今一度しみじみと実感している。

 今回の東日本大震災で、東北・関東の同胞や日本の方々は今、大変な苦しみの中におられる。そんな中、いち早く支援活動に取り組む同胞パワーは本当に素晴らしい。 こんな大変な時だからこそ、地元のトンポのつながりを強固にしたい。

 喜びも痛みも分かち合えるトンネ、これから広い世界にはばたくであろうこどもたちが、帰って来てほっとする、そんなトンネにしていきたい。(申民福、会社員)

[朝鮮新報 2011.3.25]