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好戦的な空気蔓延させて−「小皇帝」の迷走

 まん延するナショナリズムの気分。日本の政界を支配するのは幼稚なタカ派とでも言おうか、勇ましい面々である。そこでも特大の迷走ぶりを発揮しているのが、石原慎太郎都知事だ。東日本大震災における「天罰」発言、パチンコ業界への一連の妄言などについてジャーナリストの斎藤貴男氏に本紙文化欄に書き下ろしていただいた(2日付)。以前、岩波書店から単行本化され話題を呼んだ「東京を弄んだ男『空疎な小皇帝』石原慎太郎」(写真)が、講談社文庫から緊急出版されたばかり。

 石原都知事は欧州の極右をも上回る好戦屋として知られている。米誌ニューズウィーク(韓国版02年6月5日号)で、「私が総理だったら、北朝鮮と戦争してでも(引用者注・拉致された人々を)取り戻す」と発言したこともある。日本の中で戦争や核や徴兵制が公然と語られるようになった過程で、斎藤氏は同著で「石原慎太郎というキャラクターがある重要な役回りを演じているか、または演じさせられているように見える」と分析している。

 政治の貧困が続く世相。戦争放棄をうたう憲法を空洞化させながら、軍事大国の道を歩む日本を、かつてその犠牲となったアジアの人々は冷ややかな眼で見つめていることを決して忘れてはなるまい。(粉)

[朝鮮新報 2011.5.6]