top_rogo.gif (16396 bytes)

隣人同士の助け合い−小田実氏を思う

 東日本大震災と大津波、そして福島原発事故。日本を襲った未曾有の大災害の惨状は、日が過ぎるほどに深刻さが増している。寒さも加わり、被災者の方々の不安はいかばかりかと思う。こんなときに、いち早く、被災した同胞らの下に、救援金と救援物資を持って駆けつけたのが西神戸、神奈川、北海道をはじめ各地の同胞たちだった。

 また、こうした救援物資を使って、宮城の同胞たちは総出で近隣の避難所でおにぎり、豚汁などの炊き出しを行った(写真)。住民たちは「被災して初めて野菜を口にした」「温かいスープを食べて、生き返った」「キムチを食べて元気になった」などと喜んだという。

 各地から届くエピソードに心が温まる。文字通り隣人同士の助け合いの輪が自然に広がっている。こんな光景は、阪神大震災でもたくさん見られた。作家の故小田実氏の活動が記憶に鮮やかだ。自身も被災しながら、「市民救援基金」を呼びかけて、集まった基金のうち600万円を朝鮮学校4校に寄付してくれた。

 小田氏はこう言った。「震災までは住民と朝鮮学校の間には道一つ隔てて何の交流もなかった。しかし、「お互いの助け合いの努力の中で、眼に見えない国境は消滅した。こういう真の『共生』が、日朝の間に築かれるようになればいい」と。(粉)

[朝鮮新報 2011.3.25]