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〈閑話休題〉 民衆の知恵を示したウサギ−今年の干支−

 今年はウサギ年だ。長い耳と大きな目、柔らかな毛並みを持つウサギは、かわいらしさの象徴であるとともに、利発さや俊敏さを持つキャラクターとして擬人化され、古くから昔話や寓話などを通して人々に親しまれてきた。東アジアの文化圏においてウサギは、「長寿」の象徴、「月の精霊」として認識されている。

 朝鮮の歴史でウサギが初めて登場するのは、高句麗6代太祖王の時代と言われている。ウサギは、ヒキガエルや三足烏、九尾狐と共に、高句麗古墳壁画にもたびたび登場し、平壌一帯の楽浪区域の遺物からも発見された。18世紀頃に小説化された「トッキ(ウサギ)伝」(作者未詳)は、高句麗時代に創作された代表的な民族説話「ウサギとカメ」を元に作られている。「三国史記」にも記されたこの物語は、ウサギがカメに乗って龍宮へ行き、危うく肝を抜き取られそうになりながらも知恵をしぼって無事逃げ帰ってくるまでを描いている。

 作品は、擬人化されたウサギとカメの物語を通して、当時の階級関係を描き出し、一身の享楽と出世欲におぼれる支配層の横暴ぶりと無能さを嘲笑し、無権利状態に置かれた民衆の知恵を称えている。

 2011年を、ウサギのように賢く、健康的に跳びはねる年にしていきたい。(潤)

[朝鮮新報 2011.1.21]