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春・夏・秋・冬

 ネットニュースで「ビンラデイン容疑者、死亡」の見出しを最初に見た時、彼が病気か事故ですでに「死亡」していたのだと勘違いした

▼その編集者は「正義の国」が殺人を犯したと指摘することをためらったのだろう。「殺害」の言葉が使われなかったのは、米国が作り上げた勧善懲悪の物語による呪縛だ。一方、「殺害」と見出しを打った大多数のメディアも、9.11テロに関与したとされる「容疑者」が弁明の機会も与えられずに殺された理由については口をつぐんでいる

▼過去10年間、米国は「世界的テロ組織アルカイダ」によって自国が脅かされると主張し、反テロ戦争に国際社会を巻き込んだ。「幻の敵」を使って人々の脅威を煽ったものが最も大きな力を持つことができるというネオコンの思想が実践された。彼らの物語によれば、テロの首謀者はどこかの山岳地帯に潜んでいて、探し出せないことになっていた

▼ビンラデインが殺害されたということは、彼が米国にとって利用価値がなくなったということか。米国は反テロを口実に始めた戦争の泥沼から抜け出せず、中東の政治情勢は激変している。米大統領も、そろそろ次の選挙に備えなければならない。一人のテロリストをスケープゴートにして局面打開を図ろうとしたのだろうが、思惑通りにいくとは限らない。国家による個人暗殺は「テロの連鎖」を煽る行為だ。(永)

[朝鮮新報 2011.5.6]