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春・夏・秋・冬

 一日も早い廃刊を目標とする稀有な雑誌がある。月刊「統一評論」。その創刊50周年記念交歓会に参加した。分断克服のために尽力を注ぎ続けた言論界の重鎮たちと席を共にした

▼雑誌の創刊は1961年。東京の4.19人民蜂起1周年記念大会場で第1号が配布された。「行こう北へ、来たれ南へ、会おう板門店で」のスローガンを実践しようとする研究者、ジャーナリストたちに執筆活動の場を提供した。「ズブの素人」を自称した当時の編集者たちの目標は「編集のプロ」になることではなかった。創刊号の編集後記にこう書いた。「願わくば玄人にはならないですませたいものだ。なぜなら、祖国の平和統一は一日でも早いほどいいからである」

▼その雑誌の発行が50年続いた。民族の悲願はいまだ実現されていない。交歓会場に、その時代を生きた人たちがいた。貴重な体験のすべてを聞くことはできなかったが、先輩たちが歩んだ人生の片鱗がうかがえた。祖国分断の現実を否定し、民族の未来を信じて行動した彼らは、いまでも前を見据えていた。朝鮮半島の情勢を語り合い、統一の展望を示す姿に大いに刺激を受けた

▼交歓会は祝賀の席であると同時に、決意を新たにする場でもあった。統一評論の編集長は、謝辞の最後をこう締め括った。「今後も廃刊を目指し進んでいきます」−会場に大きな拍手が沸き起こった。(永)

[朝鮮新報 2011.4.28]