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カーター元米大統領が訪朝する。米国務省は「私的な訪問」だとしているが、額面通り受け取る人はいないだろう ▼昨年8月に訪朝した時は、金正日総書記との会談が実現しなかった。総書記の訪中期間と重なったためだ。元大統領が朝鮮側の招請を受けてすぐに訪朝していれば、「ダブルブッキング(二重予約)」にはならなかった。彼の出発を遅らせることができるのは、現政権の関係者以外にいない ▼朝米の対立、中米の葛藤。2010年の国際政治は「平壌に取り残される元大統領」という役回りを彼に与えた。今年は風向きが異なる。1月の中米首脳会談は朝鮮半島の平和のために北南対話と6者会談の再開を主張、朝鮮も南に対して「幅広い対話」を提案してきた。2カ月にわたる米・南合同軍事演習が終了する時期に合わせた元大統領訪朝のタイミングもまるで計算されたようだ ▼元大統領は1994年に訪朝し、金日成主席と会談した。核問題をめぐる朝米対立の打開策が示され、北南首脳会談の合意が生まれた。彼が3度目の訪朝を決行しようとするのは、本人にやり残した仕事があるからだろう。今回は、しっかりお膳立てができているようだ。「強盛大国の大門を開く」とされる2012年を1年後に控え、主席が晩年に会談した人物が平壌を訪れる。時代のめぐりあわせというものを感じずにはいられない。(永) [朝鮮新報 2011.4.22] |