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サッカー、ベガルタ仙台 「なんとしても勝ちたい」

埼玉川口 焼肉「高句麗」で、真心こもった焼肉で心一つに

 同胞プロサッカープレイヤーである梁勇基選手(29)が所属するサッカーJ1のベガルタ仙台が本拠地を置く宮城県仙台市。東日本大震災とその後の度重なる余震で甚大な被害をこうむった。チームと選手らの受けた打撃も大きかった。普段使っている練習場は使用できなくなったため、いくつかの練習場を点々とする日々が続いた。そして、3日から千葉で、13日から埼玉で、23日に控えた対川崎フロンターレ戦に向け練習に熱を上げていた。

焼肉で笑顔広がる

 本拠地での練習が不可能という困難な状況の下で、東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ(3月29日、大阪・長居)にJリーグ選抜メンバーとして出場し、日本代表選手らと堂々と渡り合った梁選手。

 その梁選手の活躍ぶりに感動した在日朝鮮人体育連合会の「光幸副会長(63)は、自身がオーナーを務める炭火焼肉店「高句麗」(埼玉県川口市)に20日、ベガルタ仙台の監督らを含め42人を招待した。

 「梁選手がいるベガルタ仙台が埼玉で練習しているというのにじっとしていられなかった。ベガルタが勝つことによって同胞のみならず、多くの東北地方の人たちに力を与えることができる。自分もその手助けをしたかった」と「副会長は話した。

手倉森監督から「副会長へプレゼントが手渡された

 震災に遭ったうえに、長い間ホテル生活を続けてきた選手らのストレスや疲労を少しでも癒してあげたいという思いから設けられた食事会。

 この日店では、東北地方の人々にとって勇気と力の源である選手たちを応援しようと、従業員らが一丸となって朝から準備に取り組んだ。

 午前中の練習を終え、午後1時半ごろ「高句麗」へ到着した選手たち。テーブルに並べられた食べ物や次々と運ばれてくる肉を豪快に頬張り、「おいしい、おいしい」と食べ物を口いっぱいに運ぶ選手たちの顔には笑顔が広がっていた。皿に盛られた料理はみるみるうちに空になった。「チーム全員で食事をするのは久しぶり」(梁選手の話)だったこともあり、心休まるひと時を過ごせたようだった。

勝利を結ぶ団結力

東北地方の人々に勝利を誓った梁選手

美味しい料理に舌鼓を打つ選手たち

 ベガルタ仙台の手倉森誠監督(43)は、真心こもった食事会に招待してもらえたことに心から感謝の意を表した。

 「この期間選手たちの精神的な管理も含め、食事や外出はなるべく自由にさせてきた。久しぶりの全員での食事会によっていっそう気持ちが一つになれたと思う。この団結力をぜひ試合で発揮したい。被災者のチームとして、応援してくれる多くの方々の期待に必ず応えていきたい」

 食事会の最後に、手倉森監督は、色紙と選手たちのサインが書かれたチームの旗を「副会長に手渡した。

 梁選手は、「自分たちも大震災を経験しただけに、東北地方の人たちの恐怖や苦労は手に取るように分かる。被災した人たちやいつも支えてくれる同胞たちに少しでも力を与えられるよう、次の川崎フロンターレ戦ではなんとしても勝ちたい」と意気込みを語った。6月には待望の第一子が生まれる予定。司令塔としてチームからの信頼が厚い梁選手、在日同胞の温かさを身にしみて感じた選手たちは、勝利への思いを胸に秘め、「高句麗」を後にした。

 そして23日、等々力競技場(神奈川県川崎市)での対川崎フロンターレ戦では梁選手のアシストなどで2−1と、今季リーグの初戦を逆転勝利で飾った。抱き合いながら喜びを分かち合う選手たち。試合後、歓喜の涙をぬぐう手倉森監督。ベガルタ仙台の勝利は、東北地方の多くの人々に笑顔を与え、復興につなぐ大きな力となったことだろう。(尹梨奈)

[朝鮮新報 2011.4.28]