top_rogo.gif (16396 bytes)

朝大サッカー部 3年連続J1リーガー輩出

関東1部リーグ昇格を目指している朝鮮大学校サッカー部

 朝鮮大学校サッカー部(1963年創部)は、今年もJ1リーグに入団する選手を輩出した。06年に鄭大世選手がプロになったあと、09年からは3年連続でJ1リーグに選手を送り出している。

 プロ選手を育成することはそう簡単ではない。しかし、朝鮮学校における幼い頃からの段階的な選手育成、選手本人のがんばりといった従来の強みに加え、朝大の関東大学リーグ加盟により内外の注目度が高まり、プロを志向する選手たちを発奮させたと金鍾成監督(在日本朝鮮人蹴球協会副会長)は指摘する。

 07年末、朝大は関東大学2部リーグに昇格した。08年シーズンから同リーグ戦に臨んだことは、選手個人の意識に変化をもたらした。

 リーグ戦はチームとしての総合的な強さ、個の実力を試すことができる。また、得点やアシストのランキング、警告の累積などが連盟の公式ホームページなどで確認できるようになったことも、朝大にとって全体的なチーム力を向上させるうえで刺激になった。

 朝大がリーグ戦を戦う中で、試合に勝つか負けるかを各地の同胞サッカーファンが注目し、結果によって喜び、口惜しさをあらわにする。その様子は、学生たちにとってサッカーをする責任、重みを認識させてくれた。そして朝大サッカー部を見守る同胞の関心に応えたいという気持ちを高めた。

 一方、関東リーグ昇格や最近の朝大出身プロ選手の活躍などは、Jリーグ側の目に留まりやすくなるという新たな局面を生んだ。

 J1・ジュビロ磐田強化部の服部健二さんは、昨年朝大から入団した黄誠秀選手について、「24時間サッカーに取り組んでいるという印象を持っているし、常に考えて行動し、指導者の言うことをしっかり聞くストイックな選手だ。このような選手はあまりいない。自らの人生をかける姿に期待を寄せている」と話す。

 また、J1・セレッソ大阪の勝矢寿延さん(スカウト総括責任者)は、すでにセレッソへの入団が決まりチーム練習に合流している金聖基選手(今月10日に朝大を卒業)のパワフルなプレー(DF、身長190センチ)に注目している。

 「朝大の選手は日本人選手と比べ、体が強く、うまさがあり、われわれは隠れた素材として注目している」

 朝大サッカー部は練習でよく走る。リーグ戦では当たりの強さが光る場面が多い。そのような姿は、プロの目からすると、魅力的なものだという。

 プロになるような選手たちは高級部の頃までに頭角を表す選手が多い。それだけ素質を持った選手が朝鮮学校には多い。朝大がプロ選手を輩出することは、朝鮮代表として活躍する候補選手が増えていくことにもつながる。

 馬舜主将(体育学部3年)は、プロ選手を輩出している現状について、「年の近い先輩がプロ選手になった。夢が目標に変わったことで、部のモチベーションは以前よりも高まった」と話す。馬主将は、多くの朝高生が朝大に入学してもらいたいと語る。

 コーチ陣とともに選手の指導にあたる金世炯名誉監督(82)によると、63年の創部当時から今日まで続く「同胞の期待に応えようとする朝大生」のメンタルに変わりはないという。朝鮮学校が公式戦に出られない時期が実に長く続いたが、同胞たちの力強い運動と日本の仲間たちの支援によって90年代から順次、公式戦への出場を勝ち取ってきた。そのような歴史を受け継いだのが現在活躍しているプロ選手たちだと指摘する。(李東浩)

[朝鮮新報 2011.3.9]