ドイツで活躍中の鄭大世選手を直撃 |
「まだまだこれから」 サッカー朝鮮代表としてW杯に出場後、日本のクラブチーム(J1・川崎フロンターレ)からドイツ2部のvflボーフムに移籍し、10日現在リーグ戦で9得点を挙げている鄭大世選手が昨年末、初めて日本に戻った。鄭選手は2014年に開催されるW杯ブラジル大会で活躍するためにも着実に実績を残していきたいなどと語り、リーグ戦での飛躍を誓った。
ドイツでの生活
ドイツでの選手生活は新しいことばかりだという。 「実はコンディションがなかなか上がらない。10日休んで3日練習して試合をするという時もあった。前半から使ってもらえない試合は2戦あったが、膝のケガがなければもっとできるという自信を持つことができた」 鄭選手はドイツに渡りすぐに膝を痛めた。それ以降、膝をかばうようになった。 ドイツでプレーすることは、日本よりも気持ちが楽だという。鄭選手自身は「2部リーグだから」と語るが、サッカーに集中できる環境に身を置くことで、自身のプレーのレベルが上がっている証拠かもしれない。 ドイツでは週に1回ほどのペースでメディアの取材もこなしている。「現地メディアは非常に書き方が厳しいというのが印象的」だと話す鄭選手。W杯直前など日本では1日に3件の取材をこなす日もあっただけに、「すこし少なく感じているというのが本音」だと語った。 ドイツ語の表現が難しいため現地の新聞をまだ読めないというが、鄭選手はドイツ語の勉強にコツコツと励んでいる。休日には、自宅でゆっくり心と体を休めている。時にはカレーなど料理を自ら作るそうだ。得意料理はないが、「得意技は冷凍保存」だと笑う。 一回り大きくなったような姿にアスリートとしての余裕があるようにも見える鄭選手は、ドイツリーグでプレーする日本人選手とも会って食事をするそうだ。 プレーへの向上心 南アフリカでのW杯後、鄭選手は大舞台で得点をあげられなかったこと、自身の勝負弱さに自信を失いかけていた。そのため、鄭選手はドイツで練習後に居残り練習をして、「アシストもできるストライカー」を志し、連日技術を磨いている。ちなみにドイツには居残り練習の習慣がなく、鄭選手はいつも一人で練習していると、早く引き上げるように促されるという。 鄭選手は先日、朝鮮代表のメンバーとして、安英学、梁勇基選手とともにカタールでのアジアカップに臨んだが、得点を挙げることはできなかった。 リーグ戦では、チームが1部リーグに上がれるよう力を尽くしたいという。 欧州プレーヤーとして実績を積み上げていくことが、2014年にブラジルで行われるW杯での活躍への近道だと感じている。「昨年のW杯出場は財産になったが、借金をしたとも思っている。それは1勝も、1得点もできなかったから。ドイツでは、実績という貯金を積み、W杯での悔しさという借金を、少しずつ返済していきたいと思っている」。 鄭選手がヨーロッパでプレーしながら感じることがある。それはW杯でともにたたかった朝鮮代表選手のプレーが、ヨーロッパリーグでも十分通じるということだ。 「朝鮮の選手はロシアリーグでプレーするホン・ヨンジョ選手のように、ハイレベルなリーグでも通用する技術がある。自分としては、まだまだ納得できる結果を残せていないし、勝負弱さを克服していきたい。ドイツリーグで日の目を見るためにも、まだまだこれから!」 在日同胞の前で言える言葉なんて見当たらないと謙遜気味に語る鄭選手。W杯の経験を生かした今後の活躍に期待したい。(李東浩) [朝鮮新報 2011.2.18] |